菅田将暉と有村架純という組み合わせは、「花束みたいな恋をした」で、息の合った恋人同士を演じていたが、同じころに撮ったこのドラマ、やはり絶妙な間合いの演技で楽しめた。

 

二人の軽妙なやり取りは、「結婚しない男」の阿部寛&夏川結衣のような、なんともほほえましいもので、飲み屋とかで隣の席にいたら、ずっと聞いていたいようなそういう雰囲気だ。

 

有村架純は、本当に歳を重ねるごとにいい女優さんになっていっていると思う。

このドラマでは心根が優しいが、理屈っぽく少々めんどくさいマジメな女性を演じているが、それも魅力的なキャラに仕立てている。この次に演じた「前科者」での保護司の役も、新たなチャレンジだし、様々な魅力ある演技を見せてくれるので、まだまだファンでいたい。

 

ドラマは菅田将暉、神木隆之介、仲野太賀の3人のコントグループ「マクベス」の行動を中心に展開されていく。

この3人のやり取りが、極々自然で本当に彼らがコメディアンとして生きているように見せてくれる。

どうでもいいやり取りや、怒ったり笑ったり、それらが嘘くさくなく爽やかでさえある。

 

誰もが若い頃は根拠の無い自信に満ち溢れ、先のことはあまり考えず、自分が何者かになれると信じて生きている。

しかし、ほとんどの人が何者にもなれず、夢破れ、違う人生を歩むのだろう。

 

物事には始まりがあり、そして終わりが必ずある。

そして終わる時に何を思い、何を得たか。

その大切さは終わった時に初めて知ることになるのだ。

 

マクベスの3人、そして彼らを取り巻く人々はその終わりを知った後、それでも力強く生きていく決心をする。

その生き方が清々しい。

 

物語の最後の最後に、菅田将暉がこのドラマのタイトルをつぶやくシーンがある。

残念ながら、マクベスのコントは一般受けせずあまり面白いとは思えないが、

彼らの生きざまや日常の会話がほぼコントで実に愉快だ。

特に6話はこのドラマの中でも最も面白い話だろう。

 

出演者はいい役者をそろえている。

芳根京子が出ているが、有村架純とのシーンがいくつかあり「べっぴんさん」と「ひよっこ」の豪華ヒロイン共演と勝手に妄想。

また仲野太賀の姉役に、なんと木村文乃が。

 

鈴木浩介や中村倫也、西田尚美に市毛良枝、伊武雅刀、浅香航大なども実に憎い配役。

菅原大吉(この人、嫌な役やらせたら天下一品)や、毎熊克哉(半径5メートルでは芳根京子の彼氏役)など、玄人好みするキャストもよい。

 

それでもこのドラマ、一番光ってるなと思わせる存在が、古川琴音だろう。

役者としての彼女もそうだし、劇中のキャラ・つむぎは本当にいい女だ。

こういう娘と出会えたら、一生離してはいけない。

男にそう思わせるような女性じゃないだろうか。

古川琴音の、触れると壊れそうな脆さと優しさは、彼女ならではである。

 

 

つむぎは瞬太と付き合うようになるが(キスシーンがよかった・・・)、有村架純演じる里穂子は菅田将暉演じる春斗と恋に落ちることはない。

里穂子は自分をどん底から救ってくれた「マクベス」を純粋に愛しているわけで、安易なラブストーリーにしなかったところは評価したい。

ちょっと恋模様もあるのかな、と思わせつつ、微妙な距離感を保ちつつ終わって行ったので安心した。

 

20代、30代の若い世代のみならず、MATTのような青春は過去のものになってしまった大人でも十分楽しめるドラマだ。