ふと、思い出したアメリカ駐在時代の話である。
職場は州都コロンバスから西に50km走った田舎町にあった。
コロンバスには日本食レストランがいくつかあったが、
職場の近くにはもちろん、ない。
そんな場所だったが、ある日職場に隣接した研究所のヒゲのハラシマさんから、
「うどんの美味しい店がある」と聞いた。
残業になると食べるものがない。
あるのは会社の自販機のスナック菓子だけ。
よし、食べに行こうと2人で車に乗って外出。
会社から10分ほど走った小さな街に、その店「Funan」はあった。
それは、よくアメリカの田舎町にあるチャイニーズレストランだ。
ハラシマさんはメニューを指さしながら、
「このセシワンヌードル、これがいけるんだよ」
と、ヤギのような自慢のヒゲをいじりながら言う。
よし、じゃそれを、と頼んでみた。
出てきたのは細麺のうどんがパンチの効いた辛味スープの中に泳いでいる一品。
一口食べてみると、これがなかなかいける。
「いけるよ!ハラシマさん!」
この時から、MATTのお気に入りとなった「Funan」のセシワンヌードル。
ここには休日出勤の時や、夜遅くまで会社に残った時などよく通った。
ゴルフの帰りとかにも行ったっけ。
当時仕事を一緒にしていたマックさん、今では偉くなってしまったヒデキさん、コージさんとかとも行ったな。
そんな思い出の店、Funanも今はない。
何年か前に店をたたんだという情報を聞いた。
すでに帰国から7年、その間にたくさんの変化があったと聞く。
2年前に久しぶりに出張に行った際にも、
駐在時代とは違ったオハイオ・コロンバスがそこにはあった。
変わらないものもあるのだが、
変化していくものの方が、確実に多い。
けれど、変わらず残り続けるのは心の中にある思い出だけである。