今年は郷土深谷市が生んだ偉人、近代日本資本主義の父といわれる『渋沢栄一』没後80年にあたります。
そこで深谷市では11月11日~13日に、渋沢栄一没後80年記念事業【栄一フェス】といった大掛かりなイベントを市内各地で開催、深谷のもやし屋が所属する深谷市産学官連携プロジェクト『ゆめ☆たまご』も【栄一フェス】に参加、栄一翁の精神の具現化に挑みます。場所は深谷シネマのあるかつての酒蔵『旧七つ梅跡地』です。
↑にあるとおり私たち『ゆめ☆たまご』が伝えるのは、渋沢栄一翁の精神を汲んだ上での未来の産業像。栄一翁80年忌にちなんで、『ゆめ☆たまご』参加事業者が80年後の産業はどうあるべきかを己の立場からよく考え、伝えてみます。
そして10月24日の『ゆめ☆たまご』企画会議の席で私、深谷のもやし屋は食に関わる事業者の一人として、ひとつの提案をしました。それが80年後を考えた食…つまり次世代以降に繋げなければならない子供膳、
『お子たまランチ構想』
です。
まず私は「お子たまランチ」発案の動機を語りました。一部抜粋してその時の内容を記します。
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先月家族で法事に出向いた時でした。法要のあとに親族一同が熊谷のある飲食店へ通され、そこで出された私の子供たち用の子供膳をみて愕然としました。
その構成は、
・ ハンバーグ
・ ソーセージ
・ ポテトフライ
・ エビフライ
・ 鳥の唐揚げ
・ ケチャップライス
・ 茶碗蒸し
…といういかにもな偏ったメニュー構成。そしてすべての料理が出来合い、もしくは冷凍食品ともいえる独特の甘い味付けがなされていました。いまや「こういう席ではこういうのは普通」と納得も出来るでしょうが、やはり良くないのはこの料理からは
飲食店側の次世代を担う子供の健康に対する真摯な気持ち
がまったく見えない、むしろ子供を馬鹿にしているような姿勢が感じられることだと私は思うのです。こういう席の料理ですから価格も1000円以下ということはありますまい。飲食業も経済活動のひとつとするならば、この子供膳は渋沢栄一翁が説く、社会貢献と継続性を目指した道徳ある経済活動とはかけ離れた姿に映りました。
このたび私たち『ゆめ☆たまご』が産業祭において
「80年後に繋げる経済活動、80年間継続できる産業のあり方」
を展開しようとしているわけですが、ならば私は
「今自分たちが出来るこれからの人たちのための料理」
をメンバーの飲食店を中心として表現しては、と思い立ったわけです。
これからの人たちとは、すなわち現在のこどもたちであり、これから子供を産む親たちのこと。彼らに一つの正しき食の指針として
『ゆめ☆たまご的お子さまランチ=【お子たまランチ】』
を開発、発表してはどうかと思うのです。
お子たまランチの概要について、まずは私の個人的な考えですが、
● この意志に賛同するメンバーで一つのキッズプレートを作ります。
● そのお子さまランチの見た目は一般的な子供膳。しかし一つ一つ料理にまったく手を抜かないものにします。
●お子たまランチの内容は産業祭の日、つまり11月半ばで地元から手に入る良質な食材を使い、人工的な味を排除し、さらに子供の健康を重んじたコンセプトを加えます。そのコンセプトとは、
『体の中から健康に=免疫力を高める』
こと。
健康維持で大切なのは、医者を頼り薬を選ぶことではなくて、体の持つ免疫力を高めることにほかなりません。免疫力を高めるには腸内の善玉菌を活性化させること。それには昔からある味噌、漬物といった発酵食品が適しているので、お子たまランチには地元の正しい食材に正しい発酵食品(腸内の善玉菌まで殺してしまう防腐剤を使った食品は排除する)を積極的に取り入れたもの、と思います。
● お子たまランチが産業祭参加メンバーの過度な負担にならないよう、各飲食メンバーが会場で販売する惣菜などをそのままランチに使うことが望ましいと思います。例えば
・「とうふ工房 」の手造りとうふや味噌(発酵食品)
・「マルツ食品 」の無添加漬物(発酵食品)
・「やまだ家 」、「うどん茶屋、三男坊 」の味噌汁(発酵食品)、揚げ物、和食惣菜
・「パンチャ・ピエーナ 」の漬物(発酵食品)を調味料として使った洋食惣菜
・「ウスキング・ペーグル 」のベーグル(発酵食品)といったものです。
これらをゆめ☆たまご会場各ブースで販売しつつ、組み合わることによって『お子たまランチ』を創り上げます。
当然料理すべての原材料は公開。レシピというか家庭でも作れるコツのようなものも公開・配布すべきと思います。そうすれば当日仮にお子たまランチの販売が終了しても、その後お客様が各ブースで売っている商品を買えば家庭でお子たまランチが作れるからです。
● ターゲットはお子たまランチとして、子供用を謳っていますが実は一番感じ取っていただきたいのが今の子育て世代である親、そしてこれからの親となる若者です。
● 価格はわかりやすく500円でどうでしょうか。量は子供に合わせた少量でよいと思います。(※価格に関してはシェフたちと現在検討中です。決まりましたらすぐお知らせします)
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この提案が『ゆめ☆たまご』の会議で通り、早速翌日の25日、参加飲食店店主、女将との打ち合わせに入りました。さすが皆さん食で生計を立てているプロです。あれよあれよとアイディアが飛び出します。
「うどん茶屋、三男坊 」の女将の提案で、野菜の皮とか根っこといったいつもは廃てる部分を使って「お子たまランチ用」のおかずを作り、食料廃棄量の多いこの国の現状に対し、「もったいない」の気持ちを込めることも加えました。
お子たまランチ会議は順調に進み、この日のうちにある程度の形が出来てきました。全体の取りまとめ役、お子たまランチ製作総指揮は和食「やまだ家
」の板長、山田正美氏となりました。彼の持つ優しくて一歩引いた味付けは「お子たまランチ」全体のバランスを上手く整えるだろうとの理由です。
↑皿に『お子たまランチ』の全体イメージを書き込む、山田氏。
そして翌週、10月31日の会議の場で
『お子たまランチ』
次世代に繋ぐ子供膳、『お子たまランチ』が姿を現してきました。
試食もしましたが、味は優しくて上々…いや、『お子たまランチ』が美味しいことは最初からわかっていました(笑)。
その日の会議では“深谷イタリアーノ”を標榜する「パンチャ・ピエーナ
」、栗原シェフが『お子たまランチ』の説明する素敵なチラシ(ポスター?)を作ってきました。
これは現時点(11月6日)での『お子たまランチ』の説明です。これから写真が組み込まれたり、説明文の変更もありますので随時更新していきます。
郷土の偉人、渋沢栄一翁が目指した『道徳』と『経済』の合一。食に携わる私たちが80年後のあるべき食を見据えたとき、今やらねばならないこととして生まれたのがこの『お子たまランチ』です。【栄一フェス】が開催中の11月13日(日)、午後0時からゆめ☆たまご会場(深谷シネマ
のある七ツ梅跡地)にて限定販売します。