今日(29日)は残念な連絡を受けてしまいました。
3年ほどもやしを納めさせていただいていた、お客様から取引の終了を言い渡されてしまいました。
理由は
「(飯塚商店の)もやしの根が長く他社のものと比べて気になる」
「他社とくらべ栽培施設が旧い」
・・・というものです。商品担当の方が弊社と他社とを視察をした上で会議にかけ、このような判断になったとのことです。そのお客様は全国展開をするホームセンター。そこにある飲食店でもやしを使っていました。これまでは大きな問題もなく使っていただいてました。
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きっかけは私どものもやしが今まで他社のもやしを使っていたお店に入ったことで、現場の調理人から違和感を持たれたことが始まりでした。
「今まで使っていたもやしと違う。変だ」
というクレームがあがり、その知らせを受けて私は、
「飯塚商店のもやしを説明するにはきちんと見ていただいたほうがよい。是非とも見学に来てください」
と伝え、そしてその結果が先の理由による取引の終了となったわけです。
私は担当の方を栽培室に案内し、ありのままに育つもやしを見てもらい、その味の違いを知ってもらって、もやしの説明に努めたのですが、残念ながらそれはその会社の基準にそぐわなかったようです。
「こだわりだけではダメ、おいしいだけではダメ」
という言葉もいただきました。おそらくこの会社が求める
『近代的な設備による衛生管理』
といったさらなる基準に満たなかったのでしょう。
飯塚商店はもやし栽培室を
『健康な野菜を育てる畑』
として捉えています。この50年間、当たり前ですが大きな問題もなくもやし栽培を続けてきてましたし、ましてや
『このもやし栽培室は薬品の匂いがまったくしない。むしろとても爽やかで居心地が良い』
・・・と、見学に来られた多くの方々が驚いています。もちろん豆と水と適した室温が保たれれば、農薬も肥料も一切必要なく育つもやしですから、薬の匂いがしないのは当たり前のことですが。
もやしの根に関しても、極力成長抑制ホルモンであるエチレンの散布を控え、ありのまま=ほんとうの成長に任せれば根はどうしても伸びますが、私はそのありのままの成長が味に良さに繋がると考えてますし、現在主流である洗浄後の根切り処理に対しては「もやしをむやみに傷つけることは好ましくない」との主義を私どもは通してます。
今回は飯塚商店のほんとう、もやしのほんとうをさらけだした結果として逆に残念な形になりましたが、これはもう仕方の無いことだと思います。
飯塚商店の、量販店側の「もやしの品質」という定義をどこに置いているかの違いの結果でありましょう。
会社の売り上げは落ちますが、それでも私は自分の信じる「ほんとうのもやし=ありのまあまのもやし」を伝え続けなければと決意を新たにしています。沢山売りさばく人より、実際に食べる人のことを考えてもやしを作り伝えていきます。
「良いものでも、正しいものでも売れなければ意味が無い」と仰る方もいるでしょうが、こと命の糧となる食品に関してはまずは
「良いものであり正しいものでなければならない」
と思うのです。その「良いもやし、正しいもやし」というのが【ほんとう=ありのまま】という言葉に集約され、深谷のもやし屋はありのままのもやしを提供したいのです。