学校給食にその土地の食材を使う・・・
当たり前のようですがこれがなかなか難しいということ、もやし屋の私でもしばしば体験しています。
さらに誰も知らないまったく新しい食材を給食に採用してもらうとなると・・・その障壁たるや否や・・・・です。
そんな中、11月2日、一つの画期的な出来事がありました。
おそらく全国でも稀なはずです。埼玉県産在来大豆の一つである「行田在来」。その行田在来の発芽大豆が初めて給食に使われました。それも行田在来の地元、行田市立学校給食センター において、です。献立表を見ると発芽大豆はビーンズカレーに使われたようです。
もちろんその行田在来発芽大豆は私ども飯塚商店が栽培したものですが、私は新規の給食センターに納めたことよりも、違う意味での喜びのほうが先に湧き上がりました。
・・・・・・・・・・・
もともと埼玉県産の在来大豆は地元農家の人たちが
『自分で食べるために栽培を続けてきた』
大豆です。長年地元に根付いた食、それが在来大豆本来の役割でした。
私は今年の4月、初めて在来大豆でもやしを作り、そのもやしを食べたときに、
『こんなに素晴らしい食べ物は必ず普及させなければならない』
との使命感が沸き立ちました。沢山売って儲けてやろうではありません。普及させねば・・という想いにとらわれたのです。長年作り手によって愛され続けた在来大豆が持つ食としての正しさが私にそう思わせたのだと思います。
・・・・・・・・・・・・・
学校給食のあり方には賛否両論あるでしょう。最近は『変な給食 』という本が出るくらいに、その日だけの栄養基準の達成を目的とし、さらに子供の幼稚な嗜好に媚びた頓珍漢な給食の献立がしばしば見受けられます。
昔から食の基本は変わらないのではないかと思います。それは・・・
身近にあるものを食べる
、ということです。給食は子供に媚びなくていいから、そういった食の基本を教えてあげれば良いと思うのです。
ですから今回行田市では、子供たちが学校給食で行田在来の大豆を食べるという、これ以上はない真っ当なことが達成されたわけで、その快挙に関われたことが私は嬉しかったのです。地元の豆農家さんにとっても大きな朗報であるはずです。
行田在来発芽大豆の給食導入。ここまで市のため、と積極的に働きかけてくれた行田市役所とJAほくさい、そして使用に踏み切ってくれた行田市学校給食センターの関係者には、心から感謝しています。
