『他のもやし屋が営業に来たよ』
今朝の事です。私が毎朝もやしを皆野町に本拠を構えるスーパーの配送センター長さんがそう教えてくれました。よくよく話を聞くとその他のもやし屋というのは埼玉県南部のもやし会社、S食品様。その常務が直々に各店舗を廻ったとのことで、売り込みにかける必死さが感じられます。
現在この皆野町スーパーでは飯塚商店の細いもやしと業界大手F食品工業様の緑豆太もやしを扱っています。営業にいらしたS食品様のもやしも典型的な太いもやしですから、そうなるとF食品様との価格競争に突入することは明らかです。
もやしの原料である中国産緑豆はかつてないほど高騰しています。
その流れに反してもやしの卸価格は下落の一方という不思議な現象が起きてます。
本来なら原料高騰に即してもやしの卸値を適正価格にするべきなのでしょうが、多くのもやし屋さんは目減りした利益を更なる生産で補おうとします。
いかに不景気とはいえ、もやしの消費量などだいたい決まってます。
つまり
「もやし屋が生産を増やすこと=他社のシェアを価格で奪うこと」
に繋がるわけで、結果的に一生懸命作ったもやしの卸価格は原料高騰にも関わらず下がり続けるわけです。
良いもやしを作れば値段を下げずとも高く買ってくれるはず。
そう思われるかもしれませんが、市場の大半を占める緑豆太もやしに関しては味が薄くて他社との差別化が難しいもやしとなっています。すると、
どのもやしも同じならたとえ産地が遠くても安いほうがよい
とお客さんも考えるわけです。これではいつまでたってももやしの価値を上げることなど出来ません。でも実際にこれがもやしを取り巻く現状なのです。
もやし屋同士が、もやしの価値を自ら落とし続け『誰も得をしない不毛の戦い』ですが、そうせざるを得ない、出口の見えない閉塞的な状況に多くのもやし屋さんが追い込まれているわけです。
