昨日、そして今日の2日間、出張続きになりました。もちろん本業のもやしのことでの出張ですが、今までの営業廻りとは違う有意義なものでした。肝心の営業の方は肩を落とすことが一つありましたが・・・


 まず昨日は埼玉県農林総合研究センターのI部長様のご案内で、「埼玉大学」で展開されている『地域オープンイノベーションセンター 』ともやしが関われるかどうかを伺ってきました。3人の教授を交えての、


「教育(食育)」


「研究」


「産学官連携」


といったキィワードをちりばめながら様々な側面を検討しました。いままでになかったもやしの価値が広がる期待があります。


 その後、私は渋谷へ向かいました。6月20日開店の「もやしCAFE Soy & Mappei」の会場の下見、そして打合せです。会場となる「コラボカフェ 」場所は宮益坂を少し登ったあたり、スターバックスのすぐ近くという好立地です。


 店内も身の丈を越えない丁度よい按配の空間です。当日キッチンを担当するスタッフと打ち合わせもしました。


 県産大豆をはじめ、ブラックマッペの新芽といった市場原理で弾かれてしまったもやしの価値を、この「もやしカフェ」で実際に食べていただく形で伝えることが出来れば、と考えてます。


 そして本日は埼玉県庁へと足を運びました。


 まず埼玉県農林部経済流通課の方々と話を進め、地産地消において県が目指す方針と、深谷のもやし屋ができる可能性をすり合わせ、さらにもやし屋として県が進める「食育」にも積極的に関わることにします


 ただ以前もこのブログで述べたとおり私は「食育」という言葉は苦手 です。もやし屋の私は「食育の先生」ではありませんし、「先生になるつもりもありません」。しかし私はありのままのもやしを語ることができます。来ていただければ見せることも出来ます。もやし屋がもやしをもっと伝え、もっと見せること、それが「食育」であるというのなら、その部分は私の理念、今まで活動してきたことと重なります。今となってはあまり言葉にはこだわりません。


「もやし屋が何のために何をするのか」


それがきちんと実現できれば言葉などどうでも良い事です。


 その後、先日の試食会にも来ていただいた県農林部のトップ、西崎農林部長と面会をしました。実は近所だったという私の妻、そしてこの面会をセッティングしていただいた森田としかず県議会議員 も同席しました。


 その場には県からは、農林関係各課長も席に着き、その後には書記がおられ、面会と言うよりまるで会議の様相でありました(笑)。さらに西崎農林部長の手持ちの資料には、私のこのブログすべてがプリントアウトされたものがありました。それは分厚く、秘書の方も大変だったと思います・・・・。


 その中で「県産在来大豆もやし」については、その成り立ちの正しさについて話しました。昨今、食の信頼・安全が問われる中で、この在来大豆は


「市場原理ではなく、農家が自分で食べるために残されてきたもの」


であること。それに勝る安全性があるだろうか。その意味でこの在来大豆には弱点がありません。私はもやし屋としてこの在来大豆の価値を見出した。加工ではない、発芽させただけのもやしとして(=つまり加工より安価にできる)普及を図りたい・・と。

 

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 面会は予定の30分を超え、1時間近くかかりました。


 多くの賛同者、協力者に恵まれ、私と県産在来大豆もやしはここまで上がってきた感があります。そしてふと考えます・・・。


 市場原理から弾かれてしまったのはブラックマッペや在来大豆だけではありません。もやしの理念ばかりを追求してきた飯塚商店も然り、なのです。先代の父は志半ばで倒れました。私もギリギリのところで勝負をしている有様です。


 しかしです。私は商人ではありますが、食の提供者であります。食の提供者として為すべきことは何か。今は主流であってもそれが澱んだ流れであれば、安易にその流れに乗らず、逆に止められてしまった正しい流れを再び呼び起こすことも仕事ではないか、食の提供者はまずその仕事をした上で報酬をいただくべきではないか・・・・と。甘いといわれようが今でもその意志があります。


 私だけでなく、もしかしたら多くの人にとってしあわせの起点となる


「まぼろしのもやし」


はその世界から生まれるもやしだと思うのです。