エチレン(C2H4:分子式)は、もともと植物が生成するガス状の植物ホルモンであり、現在のもやし育成にとっても必要不可欠な物質となってます。なぜならエチレンを人為的に栽培室の空気に混ぜることで、もやしを太くさせることができるからです。


以前にももやしとエチレンの関係 を述べてきました。


 私ども、飯塚商店ももやしの成長の調節のためエチレンを使っていますが、正直言いますと私は


なるべくならエチレンは使わずに済ませたい


と願っているもやし屋の1人であります。


 植物が自ら生成し、人体も微量ながら放出しているというエチレン。私たち人間にどれほどの影響を及ぼすのかというと、こちらの資料 によると高濃度のエチレンに晒されると麻酔・窒息作用があるようですが、これは大きな問題ではないでしょう。日常生活において私たちが高濃度エチレンの充満した空間に放り込まれることなど皆無でしょうから。


 私が人為的に混入させるエチレンに抵抗をもっているのは、植物にとって自ら生成する以外の、大気中の高濃度エチレンは「汚染物質」となり、植物の自己調節機能を消失させてしまう・・・・つまり自然の成長からかけ離れたものになってしまう点で、ヒトではなく、もやしにとっては「有害」ではないか、と考えているからです。


 昔若かった頃にエチレンを学ぶために読んだ本、(今はこのブログの為に何度も読み返してますが・・・)


植物の一生とエチレン(太田保夫著)


の中にある「大気汚染物質とエチレン」という記述がいつまでも焼きついています。要約しますと、


・・・ベトナム戦争で米軍が実行した枯葉作戦。この枯葉作戦には、農家で雑草退治に使用している除草剤が使われ、除草剤としてよく利用されているものに2、4D がある。この2、4Dが草を枯らすのは、この農薬を雑草に散布すると、雑草から多量のエチレンが発生し、そのエチレンによって、雑草の呼吸作用が異常に増大し、消耗して枯死するからである。つまり、大気汚染物質としてのエチレンの恐ろしさは、植物にとって大気のエチレン汚染は、さながら空から薄い除草剤2,4Dをバラまかれたようで、ちょうどベトナム戦争の枯葉作戦と似ている・・・


この記述は衝撃的でした。

もちろんどのもやし生産者も、もやしを太くするのに除草剤2,4Dの力は借りていません。


 しかし、もやしにとって・・・・・もやし栽培室の大気中のエチレン濃度が高まると、もやしにとってその状況は「大気汚染」とみなして、自然の成長をやめて太く変質していくのでしょうか・・・・。


あくまでも私の意見ですが、もやしの栽培室(もやしの畑)に


人為的に散布するエチレンはもやしにとって喜ばしいものなのか・・・?


そう考えると、私はむやみに使うことをためらいたくなるのです。


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