不況の中で安さが魅力、今年は原料が高騰、それでも値上げは難しい等々、何かと話題の尽きないもやしでありますが、やはりもやしは食べ物である以上
「味についてもっと語られても良いのではないか」
と食べることが大好きな私は常に思っていました。
私はよく友人や親戚、近所の方、妻のママ友達といった身近な人に在庫になったもやしを渡すことがありますが、なんといっても嬉しいのは配った人たちから自分の作ったもやしの感想を聞くことなのです。
「美味しかった」
「味、濃いよねーっ」
「なんかうまくね・・て感じ」
「歯ごたえがすごい!」
「根っ子ってとったほうがいいの?」
相手も私をよく知っているから、多分に気を使っているとは思いますが(笑)、でもこういった言葉の一つ一つが自分の勇気と自信につながります。食を提供する人と食をいただく人との関係は、
「味について語ること、作り手はそれを聞くこと。」
・・・それが基本だと思うのです。
このブログを通して、今まで何度か私のもやしに興味を抱いた人にはもやしを試供するようにしていました。
もやしを送るときに私は必ず、
「感想を知らせて欲しい」
との言葉を添えます。ネットを通さなければ知り合うことのない、私のもやしに触れる機会などまずないような遠方に住む方々が、私のもやしでどのように響くのか、どのような味の表現をしてくれるのか、それがただ売ることよりも、作り手としてもっとも大切なことだと信じているからです。
そして一昨日の2日、また素敵な宝物が届きました。
このブログで知り合った三重県に住むとても野菜の好きなS様が、私の送ったもやしをやはり野菜好きのお知り合いにおすそ分けして、みなさまの感想をまとめたお手紙を送ってくれたのです。S様の了解の下、みなさまの私のもやしに対する感想をここに紹介します。
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〈みんなからの感想〉
Kくん(小1):
飯塚さんのブラックマッペは、かむと、じんわり味がひろがってくる。スーパーのは、何かくさい!
Rくん(年中さん):
スーパーのは味が水。飯塚さんのはもやしの味がするし、おいしいよ。
Kママ(56才):
薬品くさくない。おいしかったです。
M尾さん(24才)
Mさん(21才):生と、チン、炒めて食べました!生でもいけることを知りました!!スーパーのもやし自体、生で食べたことがないのでなんとも言えませんが、全部の消費者だけでなく、わかっていただけるお客様と、絞った販売にとことん徹するのがいいかなと思いました。誰から見ても、太さなど変わった特徴があれば大衆うけするかもしれませんが、ぱっとみて差別化をはかるのは難しいかもしれません。もやしの生産者の方、頑張ってほしいです!(直売所勤務)
Tさん(73才):
貴重なもやしどうもありがとうございます。大切にいただきます。
Kじさん(24才):
細くても味がしっかりしてる!!ただ、もやしだけで食する人、もやしを味わって食べる人(料理にしてしまうと、他の食材が勝ってしまうことが多いため)が少ないため、もやしを意識して選ぶ人がふえない限り、これといった味や食感にインパクトがない限り、差別化はムズかしい。味付けの際も、もやし自体をひきたてる味付けならいいが、調味料の味がこいものを使うと(例えばオイスターソース、マヨネーズ、ケチャップなど)食感だけしかのこらなくなるから、もやしの味のよさを伝えにくくなるのでは。
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なんて真摯なお言葉の数々でしょうか。みなさまがきちんと食べた上で、味について、これからの方向性について考えていただけたこと、作り手として感謝の気持ちでいっぱいです。みなさまのお言葉はもやし屋の私にとって大きな財産になりました。S様、そして感想を伝えてくれたみなさま、ありがとうございました。
食の作り手と、食をいただく人が近ければ近いほど幸せは生まれるのだと思います。お互いに歩み寄ることがどれだけ大切で幸せなものか。私はこれらの温かな言葉から確信を得るのです。

