昨日テレビ東京で放送(13日)された、「週刊ニュース新書 」という番組で、原料の高騰するもやしの話題が取り上げられ、一小規模もやし生産者(番組では家族経営とされてましたが・・)として私ども飯塚商店が取材を受け、飯塚商店の建物、もやし栽培室(ムロ)、そして私のコメントなどが映されました。番組は私もハラハラしながら見ました。すこしその感想を述べてみます。

まずは、やはり早口でした(笑)。


番組全体としてまず、「もやしの危機」という大前提と時間の制約があるので、もやしの現実を語るには表面だけの扱いといった印象がありました。とはいえ、

市場仲卸(もしくは八百屋さんの)の

「もやしはちっとも儲からない」

とか、

スーパー青果担当の

「(自分の)希望の価格を出せない業者(もやし会社)は切る」

のコメントはよく引き出した感があります。そういう中で私たちもやし生産者は耐えてます。

 私の会社の生産量は大手の1%ほど。そして今回取り上げられた私のコメントも、取材で語った量の1%ほどでした(笑)。

 同じ記者による大手(成田食品様)と、飯塚商店の取材の対比が面白かった気がします。

 成田食品様では記者がもやし会社の現場を「もやしから」離れて伝えていたのに比べ、私のところでは記者が自らもやしを収穫して食べて感想を述べていました。記者が初めて生のもやし(緑豆もやし)を食した時、自然と発した言葉が流れたのは嬉しかったです。

私のコメントで

「もやしが消える」

ようなところで終わってしまってますが、実はこの言葉の前後にはいろいろなお話もしました。

 業界大手が低価格でシェアを奪っている現状では、もやしが食卓から消えることはそうそうないと思います。

 ただ地元密着型のもやし屋さんがなくなると、その地元では肝心な時にすぐにもやしが入手できなくなってしまいます。もともと日持ちのしない野菜であるもやしは、実は典型的な地産地消型の野菜でもあったのです。

地元のもやし屋さんが消えるということは、その地元の畑が無くなる

ということになるのです。

 そして私が警鐘を鳴らしたいのは、今本当に消えかかっているのは、もやしの味を含めた多様性という選択肢であるということです。

 もやしの多様性の中には、工業製品の如く遠方から運ばれてくる、どこで食べても変わらない味のもやしと違って

「近くて栽培されて新鮮な、本来のもやし」

も含まれているのです。

・・・疑問・・・

特集の最後に、スタジオにもやしが並べられましたが、ほとんど大手のものばかりでした。なかにはそれまで一度も番組で取り上げられなかった会社のものもありました。取材時に私どものもやし製品(緑豆・ブラックマッペ)もお持ち帰りになられましたが、なぜ共に並ばなかったのでしょうか。日持ちのしない私どものもやしですから、1日経って変色したかもしれませんが・・・。

もう一つ。その時に原料の紹介もされましたが、ざるに緑豆とブラックマッペが盛られていて、まず「こちらが緑豆」と紹介され、つづいて「こちらが黒豆」と伝え、なんと「ブラックマッペ」という正式な品種名を避けていました。私は取材時に何度もブラックマッペという言葉を連呼したのに、知らないはずはないのですが。


まぼろしの「もやし」求めて・・・ ←よろしければクリックお願いします。

とはいえなかなか楽しくてよい勉強になりました。テレビ東京様、取材に当たった吉田記者様、いろいろお世話になりました。