写真をご覧下さい。


まぼろしの「もやし」求めて・・・


まぼろしの「もやし」求めて・・・


①のもやしと②のもやしの形の違いがはっきりとお分かりになるはずです。


まぼろしの「もやし」求めて・・・
↑向かって左が①、右が②です。


そして①も②も同じ緑豆から作られたもやしです。


①のもやしの特徴としては


1.茎(胚軸)の部分が太い 

2.首の部分が細くくびれる

3.子葉(種子の中にある葉)が小さい

4.種子がすでに離脱している


という形状になっています。さらにこの写真のものは明らかに


「根取り(根きり)処理」


が施されています。根とり処理とは一般的に水槽で洗浄した後、包装ラインに運ばれる途中に、「根取り機」という機械を通して処理されることです。

このもやしの全長は約8cm。太さは3.5~4mmほどです。栽培日数は発芽後7~10日は近くかかっているでしょうか。


対して②のもやしは・・


①に比べて茎が細く、首の部分が細くくびれてなく、子葉が大きく、種子がついたままになっています。そして根がしっかりとついています。ちなみに茎(胚軸)の太さは2.5~3.2mmほど。全長が17~8cmですが、根の長さが7~8cmあります。栽培日数は発芽から7日間です。


みなさまは①と②のどちらの形のもやしを好まれるでしょうか。


現在市場では①のもやしの形が基準となっています。この形のもやしの利点も多々あります。


1.茎が太いことで白くきれいに見える

2.太くてひげ根がないことで、調理の際、絡まずにパラパラと炒めやすい

3.ひげ根がないことで、食感がよく食べやすい

4.ひげ根が取り除かれていることで、高級なもやしのイメージがある


・・・・そんなところでしょうか。ではこのもやしは“自然に育った形か?”と聞かれると、「それは違う」と答えざるを得ません。このもやしは栽培室の空気に成長抑制ホルモンであるエチレンガスを混ぜることで、上に伸びる成長を抑え、その代わりに横へ横へと太らせるよう調節をして、人間が造り出す形なのです。


エチレンを使わずもやしの生長だけに任せるともやしはこうなります。



まぼろしの「もやし」求めて・・・  


さすがにこれでは「もやしとして」売り物にならないかもしれません。ただ知って欲しいのは真にありのままに育つともやしは③の写真のようになるのです。


①のもやしは今やどのお店でも主流で並べられている緑豆太もやしです。②のもやしは飯塚商店の緑豆もやしです。どちらが比較的ありのままに近いかは、一目瞭然でしょう。


①作り手がとことん干渉して造り上げたもやしと、

②あくまでももやしの成長力を尊重して育てたもやし。そして

③作り手が一切干渉せずに成長したそのままのもやし。


 食は多様である、という観点からすればどれが正しく、どれが悪いとは言えません。多くの選択肢の中から食べる人が自分の好みに合ったもやしが選べる、というのが正しいのです。


ところが、実際の市場では


①の形のもやしが99%を占めているのが現実です。もやしの自然な成長を抑えて人間が造り上げたもやしが基準となっている


・・・それが私はもやしを縛り付ける鎖の一つであると思ってます。つまりもやしの形の呪縛です。


「もやしはこういう形でなくてはならない」


などと、誰も決めていないのです。


 昨年11月、私は生まれて初めて「全日本豆萌工業組合連合会(通称:全萌連)」主催のイベントに参加しました。

そこでは沢山のもやし屋さんと会うことになりましたが、その時あるもやし屋さんに


「(もやしに)エチレン使わないで済むようになったら、みんな(もやし屋さん)は楽になるんじゃないですか?」


とつい軽口を叩いてしまいました。


しかしその言葉は、

「形の呪縛のために、もやしの広がりが阻害されている」


・・・そんな閉塞感の中からつい漏らしてしまった本音でもあったのです。


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