本日はさいたま市教育委員会へ「絵本の寄贈の申し入れ」に伺い、その後都内の産地直売スーパー、「地産マルシェ 」各店のもやし売り場にもやしの説明広告

まぼろしの「もやし」求めて・・・
を貼りに、都内まで赴きました。そしてその間いらしたお客様には、いつものように「自分がこのもやしの生産者である」ことを明かしたうえで、もやしを勧めて買っていただきました。


 今年に入ってこのような・・・売り場に立ってお客様と積極的に会話する取り組みをしばしば行っています。私のよく知るこの産直スーパーの青果担当者も言ってますが、「これほど店に立つ生産者はいない」とのことです。


 私はもやしの作り手でもありますが、小企業の経営者でもあります。会社経営からすれば効率の悪いことをしているのかもしれません。


もやしを沢山売ってくれる人(会社)の要望に応えたモノを作り、沢山売ってくれる人(会社)の利益をあげるために、生産コストを極力下げて、安い価格で提供する。そして規模を拡大する・・・


・・・そういった指針で経営することが、会社のためには正しいはずです。


 しかしです。これまで「食がもたらす幸せ」を信じてきた私には限界が見えてしまいます。なぜなら、私は経営者である前に


「食の提供者」


であるからです。


「自分や家族が食べて納得できないもの」を人様に提供するわけにはいかないのです。


 私はもやしを作るもやし屋です。私がもやしで最も重視するのは、色でも太さでも歩留まりでも日持ちでもありません。「もやしそのものが持つ味」です。


 もやしが本来持つ味は非常に鮮烈です。なかには受け付けない人もいるでしょう。それは仕方のないことです。嗜好というのはそういうものです。しかし、本当に新鮮でよい状態のもやしを食べた時、多くの方は目からウロコが落ちたようになるのも事実です。


 考えてみれば不思議なことだと思いませんか。もやしは珍しくもなく、とてもありふれた野菜です。だれでも普通に食べてきた野菜です。どうして今更もやしの味で驚くのでしょうか。・・・・それは、


いまや多くの方が鮮烈なもやしの味を知らないし、知る機会もなくなっている


・・からに違いないのです。


 私が今取り組んでいること。それはあたかもオセロゲームのようです。今、もやし市場という盤上では(黒でも白でもいいのですが)すべてのコマが一つの色になし崩し的に染まりつつあります。ではそれは絶対に裏返ることのない盤石なコマかといえばそうでもありません。一つ、要所にコマが置かれれば簡単に裏返って色が変わる・・・そんな盤上でもあるのです。そして一度裏返ったコマは、逆に簡単には返りません。なぜならそのコマには「もやし本来の味」という強力な重石が乗っているからです。


・・・・・・・・・・・・・・

 「ええ~?もやしに味なんてあるの~??」


本日、売り場に立ってもやしの味についてお話したときに、あるお客様がこう言われました。もやしの味が二の次になっているオセロの盤上では、こういう反応も一般的になりました。私は「味はあります」と言って、私どものブラックマッペもやしを勧め、


「こちらのもやしは見ての通り細いですが、味の濃さが感じられるはずです」


というと、お客様は


「そお~?じゃあ食べてみるけど~」


と少々疑いながらも、私に気遣って籠にいれてくださいました。後でオセロの色が変わるでしょうか・・・・?その先は分かりませんが、一つのコマを置くことはできたはずです。



まぼろしの「もやし」求めて・・・
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