現在図書館から借りた
『フード・マイレージ』(中田哲也著 日本評論社)
という本を読んでいます。(深谷図書館さま。返却がずいぶんと遅れています申し訳ありません・・・)
そこに興味深い記述がありました。
『消費者について』
です。消費者・・・・私も便利な言葉なのでついつい使っていましたが・・・・。
筆者の中田さんは「消費者」という言葉について
「消費者とは最終的に商品を購入する人のことであり、その意味では全ての人が消費者である。一人一人がプロフィールを持っているにもかかわらず、『消費者』という無難な言葉でひとくくりにすることはあまりに安易であろう」
とおっしゃっています。なるほど。たしかにその通りです。私ももやしを売りながら何となく感じていました。食も多様であるように、買う人、物を消費する人も多様であるのがあたりまえなのだと。
この本ではその多様であるはずの消費者を分類したある例をあげています。行ったのは熊本大学文学部の徳野貞雄教授です。徳野氏が福岡市民を対象にしたアンケート調査結果から導き出された、消費者を4つの層に分けた分類がこちらです。
①期待される消費者層
農業の価値がわかり、金も支払う。(有機産直農家との連携)
(全体の)5.4%
②健康志向型消費者層
食の安全性に強い関心。農産物の価値は分からないが金は支払う。
(生協周辺に多い)
(全体の)16.5%
③分裂型消費者層
意識と行動が分離している。農産物の価値は分かるが、金を支払わない。
(風評被害を起こしやすい)
(全体の)54.2%
④どうしようもない消費者層
農に関して無関心。農産物の価値も分からないし、金も支払わない。
(エサ〈市場〉を食べてしぶとく生き残る)
(全体の)23.0%
・・・と、4つに分けました・・・。
なんと申しましょうか・・・・「分裂型」とか「どうしようもない」とか「エサ」とか、よほど現在の日本の消費者に怒りというか恨みがこめられているような表現です(笑)。
ただ表現はともかくとして、最近食を巡る悪い流れや、多くの方の食に対する気持ち(知識ではない)の浅薄さなどを、私自身の肌で感じていて、この分類は必ずしも的外れではないと思ってしまうのも事実です。
ならばこのような状況下において食に関わるものとしてはどうしたらいいかを考えねばなりません。目先の利益を重視すれば、大部分を占める③と④の消費者に合わせた商品を提供するのが一番でしょう。
でも私は考えてしまいます。食を提供するということの本当の意義とは何だろうかと。食べ物は人間の命に大きく影響します。目先の結果よりも「食べる人にとって大事なこと」のために、作り手は最初に動くべきだと思うのです。非常にお節介なことかもしれませんが、食の買い手、食べ手がその食に対して誤解をしているような部分があれば、作り手、売り手は勇気を持って
「それは違う」
と教えることも大事なのではないでしょうか。「お客様は神様」という言葉に過敏になりすぎて「裸の王様」に仕立ててしまったのは、私を含めた作り手、売り手ではないのでしょうか。その責任は免れません。
この4つの消費者の分類ですが、これまでの生産者、販売者に対してもやるべきでしょう。それが真の意味でのフェアというものです。