昨日のことです。私どもがもやしを納めている群馬県に本社を置く産地直売スーパー


ファームドゥ


様がまたもや新店舗を構えました。今月で4軒目というすごいペースです。あまりに早いので野菜が調達できるのだろうか・・・と不安にもなります。


 その新店は群馬県の県庁所在地、前橋市で


前橋南店


です。前橋では2店目になります。そして私ももやしを持ってさっそく店頭販売に赴きました。


 私の見込み違い(店舗の大きさなど)もあり、納品した分のもやし(40袋)は開店して1時間もたたぬうちに売れ切れてしまいました・・・・・。ただその一つ一つはお客様に話をして買っていただいたものですので、いろいろなお客様の声も聞くことができました。


 そしてそのお客様の声ですが、やはり都内のものとは違う印象を受けました。まず感じたのは普段より野菜生産者と近いのでは、ということです。


東京では、私がもやしの作りてだと名乗ると、「ハッとした顔」でこちらを見るのですが、ここ前橋ですと、「あら~そう」くらいであまり大きな動揺を見せません(笑)。そして埼玉の深谷のもやし屋だと話しても、


「深谷?ここからどのくらいかかるの?45分くらい?そんな遠くから運んできたの~?」


とおっしゃった方が数人いらっしゃいました。実際は普段私が直接この店に納品をしているわけではないので、もっと時間はかかっているのですが・・・。私も45分くらいなら産地近辺と言っても差し支えないと思ったのですが、私の想像以上に群馬県前橋市は産地との近さがあったようです。


 東京ではもっとたくさんのお客様と話しましたが、そういったことは一切言われることなく逆に埼玉は産地として近いくらいな印象をもたれてました。生産者がそこにいることを嬉しく思っているようでさえありました。


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 考えてみればです、深谷市のあるコンビニは最近“新鮮野菜”を売り出しましたが、それらはすべて他県の野菜であり、近くの畑には茄子やキュウリがゴロゴロしている時に、その店内には他県の野菜が並んでいるのを見て、とても不思議な感じがしました。そのコンビニの経営方針はあくまでも都内の客を意識したものを実践したのであり、その地域による野菜との距離の違いにまで手をつけられなかったのかもしれません。


 ですから「そんなに遠くから持ってきてるの?」とおっしゃったお客様は、ある意味とても産地の近くに住む方として、自然なご意見の持ち主だったといえます。


もっともそういった方でも、ブラックマッペと緑豆の違いは知らず、私の説明を聞いて


「じゃこっちを食べてみる」


とブラックマッペを選んでいましたが。本当にもやしは近そうで遠い野菜なのだなと、実感しました。


 その地域によっての反応の違い、考えてみればそれは当たり前のことです。その違いに触れたからといって


「何でこんなに違うんだ?」


とうろたえるのは意味のないことで、


「違うのが当たり前、もっとよく触れてみて違いを知ってみよう」


くらいの気持ちがないと、人に食を提供する資格がないのではないかと思いました。


 以前ここのブログで、


もやしを上手に育てるコツとして『違いに気付く(違和感を信じる)こと 』と記しました。違うことに気がつかない、違うことを認めないというのは非常に危険なことなのかもしれません。


 食・味のグローバル化(均一化)はその違いを塗り替えることを趣旨としてます。もやしはどうなのでしょうか。かつては主流だったブラックマッペの味、存在ですら多くの方は忘れています。まだ四半世紀ほどのことなのにです。他の野菜でも同じ事が起きているはずです。なにかその裏には大きな危険が潜んでいそうで、私は不安になります。


 やはり人間は前線に立たないと気付かぬことが多いのだと思います。今回、東京と前橋のお客様と話して


「当たり前の違い」


に気付いたこと、貴重な経験となりました。