拝啓四十の君へ -27ページ目

拝啓四十の君へ

3歳男児の親としても、フリーアナウンサーとしても「こんなん聞いてないし!」と、絶望しては望みを繋ぐ日々です。それでも40歳くらいには戦闘記として懐かしめたら!
子育ては十人十色すぎるので、どこかでどなたかに届く事があればとても嬉しいです。

 その数日、我が家は混乱していた。夫婦揃ってイレギュラーの仕事が続いていた上、私は東京への出張(一泊二日)も控えていた。母親が一晩不在するのは初めてであり、さらにその日は夫も遠方での仕事となったため、息子には早朝から12時間、保育園で頑張って貰わねばならない。家の中の緊張感が増し、普段よりも栄養剤の減りが早いが、ここを乗りきれば!と気合いを入れたときだった。保育園からの電話が鳴る。「コロナ陽性者が出たため今からお迎えをお願いします。明日からは休園となります。」

途端に胃が痙攣し始めた。ここか、ここで来るのか。感染者の増加で懸念はしていたけれど、最も恐れていたタイミング。休園はこれで5回目だったか6回目だったか定かではないが、誰のせいでもないので仕方がない。重要なのは「休園する期間」だ。震える胃から声を絞り出して問う。


「先生、登園開始はいつでしょうか?」

「来週火曜日の予定です」。 

先生、神様、有り難うございます。それは例の出張の日です。それまでは夫にも在宅勤務の時間を作ってもらい、バトンタッチしていけば何とかなりそうです。子どもと一緒だと、家でパソコンを開いたとて仕事になどなりませんがもう慣れました。負けません。

 空に向かってメッセージを送り、少しほっとしたのがいけなかったのだろうか。登園前日の午前4時。息子、突然の嘔吐。聞けば近隣の幼・保育園でお腹からくる風邪が大流行中らしい。

あぁ、若い方々はこういうときに使うのですね。


詰んだ。


休園が空けても、こんな体調では子どもを預けることはできない。考えろ、考えろ、考えろ。打開策は・・・甘える。

 今回の出張が決まったとき、私は万が一のことがあってはと、実家の両親に事の次第を伝えていた。車で2時間以上かかる距離にいて、祖母を在宅介護している両親に息子をお願いするのは、最後まで避けたかった。しかし、今回ばかりは他にどうしようもない。こんな時、母はとにかく話が早い。予め祖父母のショートステイの予約を済ませ、かつて私を出産して3ヶ月で職場復帰した働きマンの血が騒ぐとでも言いたげにLINEで一言。「早朝に行きます♪」

行き詰まったとき、諦めかけてうなだれたとき、すっと手を引いてくれるのはいつまでも母なのだ。

 出張から戻り、ほっとしたのがいけなかったのだろうか。午前3時、猛烈な吐き気に襲われた。息子の風邪をもらったようだ。


真っ青な私に夫は言う。

「今日は飲み会で幹事だから、早くは帰れないわ。」


息子が続ける。

「ママ、きもちわるいの?ボクはもう治った!だから、あそぼ!」


あぁ、今度こそ、詰んだ。



(※詰んだ⇒行き詰まり、手の打ちようがない状況を表す。若者を中心に日常的に使用される。)


両親にも息子にも負担をかけてしまいましたが、貴重な経験を積ませてもらいました。