「週末、どこか行きたい所ある?」と息子に聞くと、「けいばじょう」と返ってきた。阪神競馬場は馬を近くで見られるだけでなく、屋内・屋外ともに遊び場が充実しているので息子はとても気に入っている。子ども連れ専用の食事場所や授乳、オムツ替えコーナーも整っているので親にとっても非常に有難いスポットだ。
いそいそと出かけ、レースを見ようとしていると息子から質問があった。
「芝はいつ?」
ダートと芝のレースがあることをいつの間にやら理解していることに、驚いた。
「芝をはしるのがいい!」
観客席から見てダートコースが内側、芝コースは外側のため馬との距離が近く、眼前を通過する迫力も覚えたらしい。毎回「お馬が走るね~」としか言わない私を横目に、観察力と集中力において彼は悠々と親を追い越していく。
待ちに待った芝レース。スターティング・ゲートに入っていく馬の様子を見ながら、今度は息子が自信たっぷりに言ってきた。
「あの中のひとつ(一頭)は、ラクダなんだって」
え?どういうこと?と聞き返そうとした途端に発走し、走り抜ける優駿の群れの中に思わずラクダを探してしまう。紛れているはずが無い。しかし、「ラクダなんだよ」ではなく「ラクダなんだって」と伝聞の形をとっていることから、子どもにしか分からない天啓があるのではないかなどと考えを巡らせていると、早くも最終コーナーに差し掛かっていた。地響きを伴って近づいてくる集団の中に探すのは、予想馬ではなく“飛び抜けて馬顔のラクダ”だ。
予想も空想も当然ながら空振りに終わり、「ラクダなんて居た?」と息子に聞いてみると、「え、いたじゃん。居たよ、いた」とぼけた物言いをする。こうやって、人をからかうことを覚えていくのだろうか。いつの日もダークホースはここにあり。

