山口百恵 赤と青とイミテイション・ゴールドと (朝日文庫)/中川右介
¥987
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今日密林さんから届き、遅ればせながら読んでみました。
文庫本にしては分厚く、500p近くのボリュームですが一気に読んでしまいました。
内容は「山口百恵とその時代」の評論ということで、「山口百恵前夜」とも言うべき戦後の芸能界から引退する80年代までの流れも押さえてあります。百恵ちゃんのことだけ知りたい方にはお勧めしませんが、私はとても興味深く読み進めました。ナベプロの歴史はなんとなく知ってましたが、ホリプロやサンミュージックの成り立ちやプロダクション同士の関係性などは意外でしたね。
「総体としての山口百恵」を書きたかったということで、本人はもちろん、その「総体」の一部である関係者の当時の発言を幅広く収集されてるのですが、私は歌手・山口百恵のファンで正直、女優・山口百恵については未知であり、特にドラマ/映画関係者・映画関連雑誌からの引用が新鮮でした。
著者も「歌手と女優としての活動をどちらに偏ることなく描いた」とあとがきで述べており、やはり女優としての活動なくしては歌手としての成功もなかっただろうし、そういった意味で両方成功した事例である美空ひばりに関しての記述も結構ありました。
あの若さで女王・美空ひばりに迫った「山口百恵」の凄まじさは、例え百恵ちゃんを知らない人がこれを読んでも充分に伝わるのではないかと思います。
映画みなきゃなあ。。
あとは淳子・晶子ちゃんら同世代との比較やピンクレディー紅白辞退の裏側、賞レースの攻防、ナベプロの衰退など百恵ちゃんを取り巻いていた環境についても描いてあって、当時を知らない私には面白かったです。
百恵ファンで芸能史・歌謡史に興味がある人は是非。
しかし…タイトルの「赤と青とイミテイション・ゴールド」ですが本文中にそれにつながる記述はなく、私の勝手な解釈だと
赤=「赤いシリーズ」…女優業?
青=「青い性路線」~「蒼い時」…歌手業?
イミテイション・ゴールド=偽の金ってことで一見華やかに見える芸能界?
うーん…なんかこじつけだなー