その２６
比島戦［１３］無題
いよいよ最後の切込みか、餓死するか、いろいろデマが飛んだ。友軍が大挙応援にきて、マニラ入場はすぐ、等勇ましい、馬鹿げたデマも、まことしやかに流れた。
その頃、私は連絡の為、１人山中を歩いていた。いつものように米軍観測機が数機飛んできたので立ちどまり、身を隠した。何かひらひら落としたので拾ってみたらビラで、兵に告ぐ、とあり、米国と日本は講和ができた。抵抗はやめ、１か所に集まって指示を受けよ、という意味のビラだった。私は１枚拾い、ほんとかなあと思いつつも、ほっとし、中尊寺大尉に見せたら「こんなもの信用ならん」とぶすっと言った。そして、大隊長のところにもビラが届けてあったようで「こんなデマを信じてはならん」と早速きつい命令があった。しかし、その翌日か、師団本部より「抵抗はやめよ」と正式な通達があり、事実とわかった。
フィリピン有数の高い山の中腹だった。
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