その22

比島戦[9]負傷

米軍の攻撃はますます激しく、これに対し、友軍には武器、弾薬の補給は全然なく、素っ裸の状態で、全然抵抗できなかった。

 

そして、糧秣もなく、栄養失調となり、加えてマラリアにかかり、次々と倒れた。その頃大隊長は、私に決死の現地物資調達を命じ、戦友10名と共に、夜を期し出発した。このとき守田義人伍長も一緒だった。

 

奥地に(米軍陣地付近)行かないと食糧はないと言われていたので、決死の思いで突き進んだ。そして、小高い山上の国道三差路に出た。この付近だと思い、すぐ谷間に下った。夜のことで、なかなかわからなかったが、幸いにも芋畑を発見、そして横穴壕も見つけた。大喜びで手探りしながら、がむしゃらに採った。

 

そして時間の経つのも忘れ掘るうち、薄明るくなってしまった。もうあぶない、米軍に発見される、戦友は皆、壕に退避した。

私は最後になり壕に入ろうと思ったその瞬間、

付近に砲弾が破裂し、続けざまに撃ち込まれた。

米軍に発見されたのだ。

 

「しまった」と壕に入りかけたとたん、一発は私のすぐそばに落下爆発、「あっ」と大腿部を強くたたかれたように倒れ、何にもわからず、ただ夢中で這い入ったか、戦友に助け入れられたのか、気付いた時には、シャツ等で手当てされていた。その日、日中は壕内に潜み、夜を期し、帰途についたが、私は痛みがひどく、山中の谷間に1人、不気味な一夜を過ごした。めくら撃ちの砲弾も付近で続き、一睡もしない一夜を過ごした。

 

それから、3~4日後、ようやく隊に帰り着き、野戦病院入りした。深い大きな横穴壕だった。 


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