その20

比島戦[7]バギオ脱出


もうその頃より食うものはなく、木の実、たまにバナナの青いもの等で、命をつないだ。そのうえ、マラリアになやまされ、次々倒れた。

そして隊もばらばらで、単独行動か、2~3人の行動が多くなった。私達も、バギオに着いたのは、上村兵長と2人だった。丸1日おくれたが、行く先、道のり等、全然わからず、めくらめっぽう無茶な行動だった。深い深い横穴壕に迷い込んだら、友軍のダイナマイト貯蔵庫だったりして、青くなって飛び出した。

 

そしてバギオに着いた時は朝になってしまった。すぐ砲弾が近くに炸裂し、あわててバギオ中心街の横穴に退避した。道路上をフィリピン軍か土民のあわただしい声も聞こえた。

 

夜に入り壕を出たら、街中、フィリピン人がいっぱい出て、いろいろな物資をあわただしく運んでいた。なかには重油ドラム缶をころばせながら運搬している者もいた。私たちは砲弾炸裂の中、フィリピン人に気付かれぬよう、かくれながら、ようやく郊外に脱出した。ほんとうにひやひやしながらの脱出だった。


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