私は以前、人を成長させるには厳しさが必要だと思っていました。


厳しく指導されることで、自分の足りない部分に気づく。


できない自分と向き合う。


そうやって人は成長していくのだと思っていました。


なぜなら、私自身が厳しい指導を受けた経験があるからです。


前の会社の最後の上司は、とても厳しい人でした。


営業のいろはを叩き込まれました。


何度も厳しい言葉をかけられました。


当時の私は、その人が怖かった。


でも、その経験から私は一つのことを学びました。


「厳しく言えば、人は成長する」

……ということではありません。


むしろ、逆でした。

私は、スパルタ式の指導では成長できなかった。


私を変えたのは、怒られたことでも、厳しい言葉でもありませんでした。


自分自身が、

「このままではいけない」

「自分はどうしたいのか」

と考えたことでした。


そして、そのきっかけになったのがキャリアコンサルタントとの出会いでした。


キャリアコンサルタントとの対話の中で、私は少しずつ自分自身を理解していきました。


・なぜ苦しかったのか

・何を大切にしたいのか

・これからどう働きたいのか


誰かに答えを与えられたわけではありません。


自分の中にあった答えに、自分で気づいていったのです。


そこで私は、人を支援する時に大切なことに気づきました。


人は、外から無理やり変えることはできない。


本人が「変わりたい」と思った時に初めて、自分の力で変わっていく。


だから、支援する側がすることは、

相手を変えることではない。


その人自身が、自分の気持ちや可能性に気づけるように関わることなのだと思います。


では、人の心を動かすとは何でしょうか。


私は以前、「心を動かす」とは感動させることだと思っていました。


・涙を流すような大きな感情の変化。

・強い言葉で背中を押すこと


でも、今は少し違うと思っています。


心が動くというのは、

感情が大きく揺れることではなく、

その人の中で何かの意味づけが変わること。

なのかもしれません。


「自分はダメな人間だ」

と思っていた人が、


「自分にもできることがあるかもしれない」

と思えるようになる。


「失敗した経験」

だと思っていたことが、

「自分を知るための経験だった」

と捉え直せるようになる。


それも、心が動いた瞬間だと思います。


だから私は、人を動かす人になりたいとは思いません。


人を操作するのではなく、

その人が自分の意思で一歩踏み出せるような関わりがしたい。


人の中には、もともと変わる力があります。


支援する側にできることは、その力を信じて、一緒に見つけていくことなのだと思います。


過去の私を変えたのは、厳しい言葉ではありませんでした。


自分自身と向き合い、自分の人生を自分で考える時間でした。


だから今度は、誰かが自分自身の物語を見つけるためのお手伝いがしたいと思っています。



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