情熱と夢中の先 | 伊藤和磨オフィシャルブログ Powered by Ameba

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 永嗣が4試合連続出場して存在感を示している。先日のゲームでは、PKをストップしてチームの危機を救った。


 昨年の夏、永嗣が住むストラスブルグに足を運んだ当時、彼は第3GKだった。
 彼が所属するチームの試合を、スタンドで一緒に観戦するのは、不思議な感じがした。

 食い入るようにピッチを見つめる。自分が出場しているかのように真剣だった。

 ゲーム終了後、「皆んなを激励してくるので、車で待っていて下さい」と言い残し、関係者の通路へと消えていった。
 再び姿を見せるまでに30分くらいかかった。、1人ひとりに声をかけていたようだ。

 第3GKには、ほぼ出場機会は巡ってこない。それでも腐らずに、本気でチームをサポートしようとする志勢に感心させられた。
 良いときも悪いときも、一切変わらないのが彼の素晴らしさの一つ。
 視座が非常に高く、自分を信じ切れるから目先のことではブレないのだろう。


 ランチをしているとき、「まだ上手くなっていることを実感してるんですよ。前はキャッチできなかったボールが、今は捕れるんです」と興奮気味に話してくれた。
 日本人GKとして、どこまでやれるのか挑戦し続けたいとも言っていた。
 日本のチームから「おいしい条件」を提示されても、全くその気持ちが揺らぐことはない。


 2010年のW杯直後、ベルギーに移住して以来、永嗣の旅は今も続いている。

 純粋に上手くなりたい。
昔も今も、彼の目指すところと想いは変わっていない。選択肢があるときは、常に一番厳しい道を選んできた。


 人を羨ましいと思ったことは殆どないが、永嗣の人間的なスケール感や真っ直ぐさ、人々を虜にするチャーミングさ、単純に雄としての強さを見ていると、まじめに羨ましくなる。
そして、この男にはどうやっても敵わないなと思わされる。


 昨夏のことを思い出すと、短期間のうちに世界の情勢がコロナで変わった。
 あのスタジアムにサポーターの姿はないが、代わりに席に腰掛けていた永嗣が、今はピッチで活躍している。
 あの日に語ってくれたことを、きちんと実現している。本当に教わることが多い。

 川島永嗣をシンプルに表現すると「情熱」「夢中」「大きな子供」

 いつまでも、どこまでもらしさを貫き、彼の目標を達成してもらいたい。