進化 | 伊藤和磨オフィシャルブログ Powered by Ameba

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 小3で膝を故障したとき、参宮橋にある青少年オリンピックセンターに3カ月ほど通院していた。そこに、元神戸製鋼の大柳さんも通院していた。
 
あの人、凄い人なのよ。
受付のおばちゃんに言われても、そのときは分からなかった。
 
それまでラグビー選手を見たことがなかったし、大柳さんの体格と目力に圧倒されていた。
 
「お母さん、この子を必ずラグビー日本代表にさせますから!」と、大柳さんがオカンに約束してくれた。
 結局、ラグビーではなくサッカー選手になったわけだが、当時のことを懐かしく思い出すときがある。
 
 それから25年の月日が経ち、ある人のご縁でラグビーA代表の合宿に参加して、スクラムを監修する機会を頂いた。
「世界に通用するスクラムを組みたい。新しいことも取り込みたい」と、当時A代表の監督だった薫田真広氏から依頼を受け、奇しくもラグビー日本代表に絡むことになった。
 
「とにかく押し負けないスクラムを組みたい」
ルールすら知らない自分にアドバイスを求めてくるほど、薫田氏の探究心は凄かった。
 南ア代表に歴史的な大敗を喫したときの、苦い経験を詳しく聴かせてもらったのだが、それが原動力になっているようにも感じられた。
 
キーワードはアゴと舌、ブレーシング、腰椎アーチ
 
ニュートラルなカーブにセット
 
腰椎のアーチの確認
 
ハムストリングと大殿筋を賦活させる足部の角度
 
腹腔内圧が維持できているかの確認
 
 今日では、ハイテクな分析装置と優秀なコーチたちが、代表のスクラムをサポートしている。
 助っ人たちの力も借りてはいるが、薫田氏が切望していた世界に通用するスクラムへと進化を遂げた。
 
 今夜のスコットランド戦も胸に響く試合だった。選手たちの気持ちが、ひしひしと伝わってくる。
 
 大舞台に立てなかったラガーマンたちと、政治的な力で大会直前に左遷された真の功労者にも、心から賛辞を送りたい。