色々な国を旅してくると、ときどき厄介なことに巻き込まれる。
サンパウロに住んでいたときは、拳銃を突きつけられたことが2回、ナイフを持った男達に囲まれたことが数回あった。
今回もちょっとした珍事が。
Google naviに従って車でスカッパ・ナポリを走っていたら、裏路地の迷路に入り込んで脱出できなくなった。
これまでも、時折Google naviにやられてきた。
普通車では抜けられないような道を、なんとか通り抜けようとしているところに、停車してある車やバイク、店のテーブルなど様々な障害物が行く手を阻む。
そこへ、あらゆる方向から無秩序なバイクたちが脇をすり抜けていく。
背後から3台のバイクに煽られ、先に行けよ!と窓を開けて手で合図した数十秒後、ヘルメットを被った男が窓から乗り込んできて、私の左腕の時計を掴んだ。
一瞬、なにが起きたのか理解できなかったが、直ぐに男の手首を極めて動きを封じた。
強盗の顔を見たら、歯を食いしばって夢中で時計のブレスを千切ろうとしている。
こいつも生きる為に必死なんだなと、怒りよりも憐れに思った。
プロならさっと抜き取ればいいのに、下手くそな上にたいして腕力がない。
1分くらい格闘が続いた。まるでドリフのコントみたいで吹き出しそうになるのを堪えた。
手首を掴んだまま顔を殴るか、目を突き刺すか迷う。
行く手を障害物に阻止されていたし、レンタカーをぶつけたくない。
さらに、ナイフで首を刈られたり、背後にいる仲間にやられたりするのも勘弁してほしいので、結局短い距離を一気に加速して男を振り切った。
強盗は時計のブレスで指を切ったらしく、私の腕に血のりがベッタリとついていた。
左腕が少し痛むけど、通行人を跳ねることもなく、時計も車も無事でなにより。
これからシチリアに向かう。