お師匠さん | 伊藤和磨オフィシャルブログ Powered by Ameba

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 先日、自分の御師匠さんだった藤川孝幸氏が逝去された。


小学3年生のときに、読売クラブの入団テストに合格して以来、11年間同クラブに在籍した。
 当時、現役選手だったGKの藤川さんに目をかけてもらい、毎週木曜日の夕方からマンツーマンで練習をつけて頂くようになった。

 子供だからといって容赦はしない。
藤川さんの眼力は半端ではなく、ピリピリとした空気の中で必死にボールに飛びついていた。
 練習というよりは稽古と言った方が適当かも知れない。それくらい、ハードなものだった。

 トップチームの選手に指導してもらえる嬉しさはあったが、ニコリともしない藤川さんの威圧感と、バテ上がるまでやる練習が嫌で、毎週木曜日がくるのが憂鬱だった。
 読売ランドに到着してから、グランドまでの足取りが重い。

 しかし、そのお陰で全国少年サッカー大会で優勝し、日本一になることができたし、クラブ史上3人目の特待生にもなれた。

 そんなある日、彼が図説入りで自主トレメニューを2枚書いて授けてくれた。それは、とても細かく丁寧に書かれていた。 それを宝物にして、何年間も活用していた。

 自分がプロになってから同じポジションを争う相手になり、違う意味でも可愛がられたが、当時を振り返ると懐かしく思う。

 藤川さんが国際武道大の監督をされているときに、声掛けされて勝浦に行ったことがある。
 彼の家に泊まった翌朝、海岸沿いのデニーズで朝食をとりながら、師弟関係、ライバル関係のときには話せなかった事を話した。多少、緊張しながら。




 負けじ魂を胸に、ずっと走り続けてきた彼の人生をふと思うときがある。
 人格形成に大きな影響を及ぼす少年時代に、藤川さんと出会えたことに心から感謝している。

 向こうに行っても、大人しくしているはずがない。
藤川さんは、どこに行ってもトップを目指して闘う男だから。