チェンマイに滞在中、電話で知らされた内容は、口腔内の腫瘍は殆どが悪性で、進行が早くて苦しむことになるから、安楽死も考えた方がよいというものだった。
いやいや、 勘弁してよ。
帰国してから病理検査の結果を聞きに行くと、悪性黒色腫・メラノーマ だった。余命は2〜3カ月とのこと。
メラノーマ に効く抗がん剤はないそうで、手立てがないそうだ。
「もう、好きな物を食べさせてあげて下さい」と、Dr.からアドバイスされた。
「あぁ、そうなんですか。わかりました」
なんて、素直に受け入れられるはずがない。
バラバラだった家族を引き寄せ、爺ちゃん婆ちゃんの元で育った甥っ子を心を支えてくれたのは、このワンコだった。
どんな事でも、執着をなくした方がよいことは分かっているが、うめの命には執着する。
直ぐさま、あらゆるところから情報を収集して、今できることの全てを試みている。
同じ病を患い、愛犬と共に闘病している人たちの手記を読んで、励まされることや役立つ情報もあった。
勝ち目のない闘いかも知れないが、現在は癌の働きを抑制する特殊な薬を与えつつ、遠赤外線を日に2回患部にあてている。
本当は嫌なのだろうが、うめも大人しく温熱機の上にアゴをのせて35分間耐えている。
その健気な後ろ姿を見るだけで、涙腺が緩む。
治療の甲斐があってか、 今のところリンパ節への転移は認められていない。
本人が苦しむことになるなら止めるが、それまでは最善を尽くす。
色んなことに想いを巡らせながら。