方針がわからない政治家が多い。
参議院議員候補の知人がいるのだが、彼が「ぜひ、協力していただきたいことがあります。一度、ご説明にお伺いさせてください。」という。
わざわざ時間を取って話を聞いてみると「学生と企業をつなぐNPO活動」みたいな事をやっているので、「協力して欲しい。」とのこと。なるほどそういうことをやっているんですね。「では主旨は目的は?」と聞いた。人はやっている項目や事実に意義を感じない。それを何のためにやっているのか?という目的のほうに意義を感じて、協力する姿勢をとるかどうかが決まるので、僕の質問は当然の成り行き。
回答はこうだった。「票を稼ぐためには何か他の候補と違った実績を残していると有利なんです。それなりに、企業とパイプがあるのもわかりますし、学生などのこれからの支持基盤も構築しているんだなとわかるからです。」…
全くあほらしくて話にならない。
NPOの活動自体に意味がなく、ただ支持基盤や票数のことだけ。選挙対策のことだったのだ。
「全くサポートする意味を感じませんね。」と言って僕は続けた。「さっきから話を聞いていいると、あなたの言うのはただ、当選したいということだけ、『何を国政でやりたいからとか、こんな問題を感じていて国政に入っていくことでしか実現できないから。』とか参議院議員になる意義をわかっていないようだし、学生と企業をつないで何を実現したいのかがないただのイベントなんて僕は協力できないし、その気も起きない。あほらしくて意味がわかりません。キチッと自分で社会の問題を認識して強く俺がやらなきゃ誰がやる?という意識を持ったらまた来てください。解決すべき社会問題も認識していない自分自身の当落にしか興味が無いようでは、そんな人、議員になったら迷惑です。」
大方、自民党の先輩にでも言われて、勘違いしているのだろうし、回りもいけないのだろう。どうしてこういう人物を担ぐのだろうか??
昨今のヴィジョン不足の政治を象徴するような出来事だった。
また、違う集まりで偶然にも会った彼は「この間、おっしゃっていただいたことを実現すべくがんばっておりますので、ぜひまた今度よろしくお願いします。今後とも応援してください。」とのこと。意味がわかりません。
票を目指すのではなく、実現したいヴィジョンを目指す。
そのために日々活動を行い続け、すばらしいと思った人が支持基盤になる。
票はただその活動をつづけたことを世の中が評価したかどうかの一つの現象。
企業でもすべて同じ。実現したいヴィジョンがあるから、解決したい問題があるから事業に意義がある。
従業員をモチベートするためにヴィジョンがあるのではないし、顧客にストーリーを聞かせたいから物語を考えるのではない。物語があり、それを大切にしているから顧客と共有したいのだ。
この違いが同じように見えたら、救いようがない。
この世の中、実に残念な人が多い。