(写真提供:三喜プロモーション)

 

マジが死んダ!

衝撃で目の前が霞む。
永六輔さんの死も母の死も、耐えがたいものだったが、ある程度の覚悟はあった。
徐々に弱っていく姿を目にしていたからだ。
でも、今度は……
ボディブローのように哀しみが効いてくる。
いつも会っている仲ではなかったが、長い付き合いだった。

「マジ!」

「トモ子!」

私と真島茂樹さんは、そう呼び合っていた。
最初の出逢いは思い出せないが、日劇の舞台で男性陣の中で華やかに踊っている姿が目に焼き付いている。何度も日劇で一緒になった。
私が春、夏、秋、三大踊りのゲストで大階段から羽根をつけて降りてくると、彼らが下から手を差しのばしている。

マジとの歳の差はあまりなかったと思うが、私は芸能界デビューが早いので、なんといっても大先輩。
それなのにマジはいつも上から目線。
そりゃそうだ。あの背の高さは圧倒的だった。
顔も小さくカッコ良い。
日劇退団後もミュージカルで一緒になると、ダンサーの先頭に彼はいた。
小さい頃からバレエのレッスンを受け、基礎がしっかり身についているので、そばにいてくれるととても頼りになった。
ミュージカル『ラ・カージュ・オ・フォール』のドラァグ・クイーンの役もとても良かったが、

「アタシは舞踊家じゃない。生涯踊り子」

彼はそう言っていたように思う。
踊りが命。
それも本格的な……

その彼が、マツケンサンバの振り付けと踊りに関わったのには、少々驚いた。
キンキラの衣裳で誰にでも踊れるダンスを踊っている。
彼の心を聞いた訳ではないけれど、マジは人生で大きな舵を切ったのだと思う。
それは大当たりだった。
大衆の人気を獲得した。

マジ、今はどこにいるのですか?
トモ子はマジの素晴らしい踊りを忘れません。