婦人公論に「77歳で初めての引っ越し」という記事が出た。

私は特殊な生活をしてきたので、いい年をして初めてということがとても多い。

まず、移動は全て車だったので、電車の乗り方がわからない。
マンション生活にかわり、小さい時から私にはあった大きな稽古場がなくなってしまった。
自分の出る、ミュージカル、コンサート、芝居の多くは我が家の稽古場であった。
それがどんな特別な状況であったか……偉い方達も場所がないので、我が家にはせ参じていた。
私はお姫様であった。

ところが、今は稽古場を求めて転々としている。
最初は中野だった。
タクシーで往復1万円以上した!ここには30回以上通わなければならない。計算の苦手な私でも、流石に30万はちょっとキツイ。いやいや、大変キツイ。

電車に乗ろう!

私は今までに何回もトライしてきたが、ひとりで乗ると違う場所に着く……
私はその頃まだ切羽詰まっていなかったのだろう。山手線だけは何となくわかる。内回り・外回りはおぼつかないが、車で最寄りの駅まで行き、新宿で降りる。目の前に総武線が止まる。

"トモ子ちゃん、黄色の電車よ。黄色の電車"

私は幼稚園児か!
友達のスマホからの指示で何とかクリア。


最初の頃は電車の中で「アッ!」とか「オッ!」とか言われ、喋りかけられたりサインを求められたり。私の挙動が不審だったのだろう。最近はそんなこともない。

サクセス・ストーリーというものは、みなさんお好きでしょ?
私はその逆をいっている。
シンデレラ姫が灰かぶり娘に……
白鳥がみにくいアヒルの子に……
逆バージョンもまた楽し、と思っている。

私の変形性股関節症の手術のおかげで新しい脚を2本付けていただいたようで歩きやすい。
駅の階段もバンバン昇り降りできるし、今度の公演では久しぶりにダンスもご披露する。

年を重ねてからの生活の変化は不安がらず大いに楽しもう!

もし、電車の中で私を見たら、どうぞ見守っていてくださいね。
まだ初心者マーク。スマホ片手なので降りる場所を間違えますから。
ネ!