私のブログを必ず読み、電話をくれる友がいる。
感想はあまりなし。

「ボクさ、何で生きているのかわかんないんだよね」

どうやらこれを言うのが目的らしい。
でも彼は、尊い仕事をしそれを誇りにもしているくせに、何となくぼやきたいらしい。

私とて、何で生きているのかと問われたら、答えなどない。
母の自宅介護をしている時は、母を守るという明快なミッションがあったのだが、今は……サテ。

来年の2月9日、「山崎陽子の世界」朗読ミュージカルのため一生懸命稽古をしている。
前はすべて我が家の一階の稽古場を使っていたが、今はアチコチ転々としている。
現在は、今回のピアニストのお宅をお借りしている。

取材のため、雑誌記者とカメラマンが現れた。
なんとその場所に、その雑誌の編集長が現れた!

なんてことだ。
昔、私はその編集長に憧れていたのだ。
驚天動地、全く聞いていなかった。
心臓が口から飛び出しそうになった。

狭いスタジオのソファに彼はどっかり座り込んだ。
「さあ始めろ!」というわけだ。
無理です。顔も間近に迫っている。

そこで台詞を言い、歌い、朗読をする。
気持ちをさらけ出すのはつらい。
舞台の上なら何でも出来るが、ここはスタジオだ。

「あのー、帰ってくれませんか?」

「オレは編集者だよ!」

覚悟を決めてやりましたよ。
やったにはやったが、威勢が良すぎたようだ。やけのやんぱちといった心境だ。

私にも、まだ動く心。
やわらかい心が残っていたのだなー。

「何のために生きているのか」と問われたら、私のドキドキする心、やわらかい心を大事にしたい。

そしていつも心の中で、
そっと、恋をしたい。