黒柳徹子さん主演の朗読劇を観に行った。

初演から何回観たでしょう。
母の亡くなった年は、さすがに行きませんでしたけど、今年は2年振りに足を運びました。

物語は、
自分らしく奔放に生きる79歳のモード(=黒柳徹子)。
愛に飢えた19歳の少年ハロルド(=今回は向井康二)。
客席は若い女性でいっぱいだった。

狂言自殺を繰り返す少年と、生きることを楽しむ女性が何度か顔を合わせるうちに、仲が深まり惹かれていく。
もちろんふたりの交際に周囲は大反対するが、お構いなし。
生きることの楽しさを教えてくれるモードに、本気で恋をするハロルド。
お互いお金持ち同士。
ふたりの愛は純粋だ。
モードの80歳の誕生日パーティを開くのだが……

向井君お目当ての女性が多いようだが、20歳くらいの女性が、自分が80歳になり19歳の少年を本気で愛する気持ちなんて、わかるのかしら?
モードはとてもチャーミングで可愛いけど、何といっても歳の差がありすぎる。

年だけは、いっている私だけど、本当に私は愛せるのか……
才能のある少年にほれぼれすることはあるのだが……
愛するとなると、想像できない!と思って何度も観てきたお芝居だ。

でも、私はこのお芝居はあたたかくてとても好きだ。

そして終演後、黒柳さんの楽屋訪問。

黒柳さんは、舞台衣装とは違う、また別の豪華な正装で、玉座のようなものに座って私達を待っている。
後ろには、重厚なカーテンが下がっていて、まるで一服の肖像画を拝見するようだ。

普通の方の楽屋だと、鏡台の前で楽屋着でお化粧を落としていたりして、普段のお姿を垣間見ることも出来るのだが、それはまるでなし。
まるで謁見の間だ。

私は、コンサートが終わると「わー終わった終わった」
ラフすぎる恰好でお客様に応対し、ヘアメイクさんにたしなめられる。

コロナ禍でお客様とお逢いできなくなってからは、なおさらいい加減になってしまった。

黒柳さんの楽屋でのこと。

今日のお芝居の感想を述べた後、黒柳さんの耳元で

「今日私初めて涙出ました。モードが本当にハロルドを愛していることがわかったような気がして……」と囁いたら

「来年はあなた号泣するわよ」

本でも芝居でも、年を取って初めてわかることもあるものだ。

長生きはするものです。