私はなぜ、"思い出"と称するゴミが捨てられないのでしょう……
母が亡くなった時、彼女にとってどんなに大事な物があったのかわからないけれど、何も持てず旅立ったのを知っているクセに……
棺の中に、私の本、母が最期まで可愛がっていたぬいぐるみなどは入れたけど、あれはあくまで"残されたものの未練"というもので、所詮は無になってしまう。
それなら私の身辺整理もチャッチャッといくはずなのに、なにも片付かない。
母の部屋からやり出したのがまずかった。
母の文字、写真が至る所にあり思わず座り込み、読みだしてしまう。
明日にしよう、明日にしよう。
結局、右の物を左に移しただけ。
母の部屋をひとまず諦め、私の部屋に手を付ける。
膨大なる私の写真の整理にとりかかる。
4歳の時に映画に入った時からの、スチール撮影。
雑誌「少女」の表紙を飾った10年分の写真、グラビア……よくこんなに私の写真の需要があったものである。全部プロの手によるものなので、迫力が違う。
捨てるのをためらってしまう。
世間様がよくお使いになる、私の誕生6ヶ月の写真、映画のスチール、杉作、ちょび安のものなど。
テレビ時代の活躍、アメリカ留学時代、ライオンとヒョウの写真、母の介護の写真などは、データ化され整理されている。
それ以上の紙焼きの写真が山ほどある。いえいえ、ひと部屋分くらいあるかなあ……
私にとっては大事な思い出だが、子どももきょうだいもいない私にとっては、他人から見ればゴミかしら……自分では処理できそうもない。
ひょっこり、こんなものが登場した。
どんな時の写真か記憶にないが、サテ、捨てるか、残すか……
あなたならどうなさる?
捨てられそうにないな。
自分が死んじゃったら持っていかれないのに……