「私、施設に入りたい」

母の言葉を聞いた時、5年前に母が自分の誕生日パーティで失禁し、初めて認知症の疑いを持った時と同じ衝撃を受けた。何で?母に対しての5年間の自宅介護は無駄だったのか。要介護1から4になり、今は5だ。朝と午後に二交代で看護師さん、ヘルパーさん、訪問医の先生は週2回、訪問入浴のスタッフ週2回、それとマーちゃんと私。マーちゃんと私はプロではないので、それは手際は悪いでしょう。でも一生懸命やっている。

「何が気に入らないの」私は号泣しながら母をゆする。

「本当に施設に入りたいの?」

「だって施設に入るのは難しいのでしょ?」と、母。

どこかで線が繋がる時もある。

「すぐ入れますヨ、有料老人ホームなら明日からでも入れますヨ」

私も極度の疲れがたまっていたのでしょう。歯止めがきかなくなっている。こんなに苦労しているのに、こんなに頑張っているのに、なぜわからないの?ママが施設は絶対嫌だと言ったから……私はこんな目に遭っているのに。ベショベショ泣きながら、誰か止めてくれなかったら掴みかかっていきそうだ。あのおしゃべりなマーちゃんが後ろで黙って立っていた。

それから2〜3日母娘はムッとして過ごしていた。マーちゃんがそっと

「ママは思いやりのある人だから、トモちゃんが疲れて大変だと思ったんだよ」と、励ましてくれた。

私も気がおさまり数日後、

「施設にお入りになりますか?」と、聞いたら

「何てひどいこと言うの!」と、叱られた。

母の頭の中はどうなっているのでしょう。覗いてみたい。

この5年間の教訓。母と対等に戦ってはいけない。わかっているのですがね。(´-`;

3月3日に放送された『徹子の部屋』では大きな反響をいただいた。メールも電話も桁違い。やはり100歳というのが珍しかったのかしら。
認知症で介護している方からメールで、「もう声も出なくなっていた母が、徹子さんとトモ子さんと一緒に『早春賦』を、声を出して歌いビックリしました。歌って素晴らしいものですね」と書いてくださった。私も少しはお役に立てて嬉しくなる。
テレビでは偉そうに、母は天使みたい!などと言いながら、母娘ですもの。小さなトラブルはあるのです。

つい先日、母は私の顔をジーッと見てこんなことを言いました。

「あなたのお母様は?」と、母。

「ヘェ、あなたのお母様って……」

母はニッコリと笑いながら

「あなたのお母様は?」

「あなた様ですヨ」と、私。

母は「オホホホ……」と、笑いながら

「ずいぶん老けちゃったのね」

あのね、あなたの介護で老けたの。┐(´~`)┌