いじめ防止対策推進法の闇 | 松本浩一(杉並区内でほぼ毎日街頭演説してます)のブログ

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 先日、いじめ防止対策推進法が施行されました。多くの問題をもったこの法律について改めて苦言を呈しておきたいと思います。

 
この法律の根本的な間違いは、いじめを減らしていくために行わなければならない、学校という閉鎖的、いじめを助長する空間をきちんと作り直し、子供が主体の学校環境を整えていくというものがすっぽり抜けています。

 何のためにこの法律を作ったのか本当によくわかりません。いじめの問題が世間でクローズアップされている中で、「この問題を政府はきちんと考えているよ」という単なるパフォーマンスの為の、偽善的なものとしか思えないような法律になっています。

 
多くの疑問の中で、条文を読んでみました。すると現在よりも状況が悪化してしまうのではないかと思えるような条項がいくつもあります。

 根本的な問題として、いじめの定義もおかしいものとなっています。この法律では、いじめだと思うとなんでもいじめとなってしまうそうです。つまり、顔の形や仕草、言葉遣い、日常的の行為もいじめだと判断すればいじめになります。
学校生活もままなりません。曖昧を通り越しています。

 
百歩譲って子供がいじめに対して抵抗できるように曖昧にしているとしましょう。しかし、このいじめを定義し、認定し、対策を講じるのは国・地方公共団体、学校です。つまり、いじめの定義はものすごく曖昧ですが、子供や親が問題にするのではなく、その対策や問題として取り上げるのは学校や関係機関となります。親も学校に調査を協力しなくてはならない規定もあります。
 
 私がこの法律に少しだけ期待していたことは、「暴力的いじめ」についての抑止効果でした。法律でも、犯罪行為は警察に通報しなければならないとあります。しかし、通報は「学校」が判断した場合行われると規定されています。

 普通の社会では、暴行を受ければ、本人が、もしくは、目撃者などが警察に通報できます。しかし、学校では、犯罪的ないじめに対しては学校が判断し、通報します。学校がこれは通報すべきでないと判断すれば慢性的で、暴力的な恐喝でも黙認されます。首をかしげるばかりです。 

 学校は絶対で、悪いことはしないという幻想の中で様々な決定がなされて行きます。これは大きな問題です。私も経験していますが、学校や教育委員会などは、こういった問題に対して都合の悪い場合、隠ぺいをします。今の隠ぺい体質、学校環境を維持していれば、全く効果は無く、同じ事態を生み出すことは必至です。むしろ、権威を与えているという点で現状より悪化する可能性が大です。

 いじめは子供同士で行うばかりでしょうか?いじめは暴力だけでしょうか?先程書かせていただいた様に、暴力的いじめに対しても見せかけだけで、何ら対策が講じられていません。という事は、もちろん、俗に言う「コミュニケーション操作型」のいじめには全く対応されておらず、考えてすらいません。

 問題はそれだけではなく、子供の懲罰は規定されていますが、子供同士と同様に多くある、教員や学校などによるいじめやいじめの教唆、さらには隠ぺいに対する懲罰規定は一切ありません。子供に対して厳しく、組織や組織に所属する者には優しい法律となっています。当然のことながら、部活動におけるいじめや体罰の問題なんてのは全く考えられていません。

 
「いろんな努力をこの法律に則ってやっているので私達、学校・関係機関には問題はありません」「私たちは頑張って調査をしました、組織は健全です」という権威をこの法律は与えることとなります。それだけではなく、恐ろしいことに、この法律にはいじめ防止の為に色々な機関や部署を創設するという趣旨の条項がいくつもあります。つまり、この法律によって教育関係の天下り団体が多く誕生するのではないかという懸念すらあります。

 
いじめは残念ながら存在するものです。まずはこの部分を認めなければ何も始まりません。いじめ防止とは、その起こり得るいじめがエスカレートすることなく、個人で逃げられる体制を作ることが必要だと思います。

 私も高校の際に部活動の中でいじめを経験しました。最初に訴えたときに、きちんとした学校による解決がなされていたら少なくとも、いじめの悪化は防げていたと思います。暴力を受けて外部に通報することはもちろんその当時、許されていませんし、むしろ、「診断書が無ければ意味がない」「通報しても無駄だ」と止められます。

 部活動の中では、暴行を受け、網膜剥離骨折や金品の恐喝までされた同級生もいました。しかし、犯罪的暴行を起こした本人は、通常の様に学校に来ています。通常の様に部活動を行っていました。実際に、学校で起きた事件は黙認されています。学校が判断するという事はまた同じことを繰り返すこととなるでしょう。隠ぺいする為であれば学校はいじめられた側に牙をむきます。(本文の最後にいじめ・体罰。学校の実態等を書いたブログをご紹介しています。)

 
場当たり的に、人気取りのために作られたこのいじめ防止対策推進法は本当に健全な学校環境を作り上げるという目的を持っていません。子供が主体の教育体制を作り上げることが国家の役割であり、地方自治体の役割です。しかし、むしろ、学校が子供の教育や成長にとって弊害になっています。

 社会とはかけ離れた閉鎖的空間になっている学校を変えていかなければ絶対に改善しません。日本社会に続いてきた問題をきちんと認識し、本当のいじめ対策を考えていくべきです。根本は学校環境の抜本的改変であると私は考えています。





※以前書いたブログです。いじめの実態や体罰、学校の体質など書かせていただいています。参考にして頂ければ幸いです。

悪しき教育環境の現状を考える パート1
http://ameblo.jp/matsumotokoichi/entry-11465258444.html
体罰やいじめの問題について私の経験に基づいて書かせていただきました。

悪しき教育環境の現状を考える パート2
http://ameblo.jp/matsumotokoichi/entry-11466404658.html
活動の現状、顧問と生徒の主従関係、さらには第三者委員会の問題点について書かせていただきました。


悪しき教育環境の現状を考える パート3(総括)
「前編」⇒http://ameblo.jp/matsumotokoichi/entry-11477570934.html

「後編」⇒http://ameblo.jp/matsumotokoichi/entry-11470252852.html

 

教育関連のブログのまとめです。
http://ameblo.jp/matsumotokoichi/entry-11537073372.html