歌劇「天空の町」~別子銅山と伊庭貞剛~ と企業精神を考える。 | 松本浩一(杉並区内でほぼ毎日街頭演説してます)のブログ

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 ここ数日、台風とそれによる大雨は日本列島に多くの被害をもたらしました。私は、昨日、朝から水防配備態勢が発令され、消防団で警戒や見回りの為、参集しました。各地で大きく被害も出ていますし、杉並区でも少し川の氾濫等があり予断を許さない状態でした。

 
 さて、昨日は初めてのオペラ鑑賞の為、新宿区立文化センターに行ってきました。先程書かせていただいた消防団の先輩が出演するもので、初めてのオペラ、そして初めてのプロの歌手である先輩の新たな姿が見られるという事で楽しみにしていました。しかし、それだけでなく思いがけず良い経験と人の生き方、企業の精神を考えさせられることになります。


 
(オペラの写真は撮れませんでしたが、
会場にあった巨大パイプオルガンです。)


 今回、鑑賞したのは歌劇「天空の町~別子銅山と伊庭貞剛」。ご存知の通り、東は足尾、西は別子と言われた銅山です。別子銅山は欧米列強と戦うため工業を発展させるために大いに発掘され、地域の経済は発展し、隆盛を極めます。しかし、その生産・経済活動は、別子山の緑を奪い続け、その素晴らしき恵みの山は荒廃していきます。さらに製錬所では亜硫酸ガスが発生し農作物を枯らす煙害が起き、ついには農民暴動が勃発しました。

 
 この別子銅山の騒動が大変な最中、紛争解決のため、、「別子銅山中興の祖」といわれている伊庭貞剛(いば ていごう)は鉱業所支配人として別子へ単身赴任をします。伊庭はもともとは裁判官として官という立場で働いていました。しかし、出世という私利私欲の為、こびへつらう官の世界に嫌気をさし、そして、その「公利公益」の精神に感銘を受け、「住友」に入社しました(余談ですが、給料は半分になったそうです)。その後、衆議院議員に当選しますが、再び住友に戻り、別子銅山での問題に立ち向かって行きます。

 
 公害にさらされ、荒廃した別子銅山を見て、伊庭は、煙害からその土地を守るため製錬所移転の決意し、 「荒廃した別子銅山を昔の緑豊かな山に戻す」ため植林を行い、環境復元に力を入れていきます。しかし、話はうまく進んでいきません。会社と農民の互いが耳を傾け合わない人々の荒廃にも原因があると考え、伊庭氏は毎日銅山へ登ったり降りたりし、対話の必要性を訴えました。様々な困難を乗り越え、伊庭氏はこの困難を乗り越えていきます。植林の道半ばでは、荒廃した山では土砂災害などの大水害が発生し多くの死者をだしましたが、それにも負けず植林事業を加速していきます。


 住友化学はこの別子銅山の製錬工場で発生する亜硫酸ガスから肥料となる物質を製造する為の工場がその前身です。さらに、伊庭が立ち上げた植林事業を行う部署はのちに住友林業へと発展します。住友の「公利公益」の精神を貫き、この別子銅山での問題に真摯に取り組んでいきました。もちろん、後の歴史的評価は、煙害に関してはより悪化してしまったという評価もあります。しかし、問題に取り組む姿勢は人々の心に響きました。


 この歌劇の中で、この伊庭氏の企業家としての心、別子山に緑が戻った喜び、そして、人としての生き方をこう表現しています。「日本人の心を忘れず大切にしてくれ、日本人の本来の心とは素朴で、質素で、清貧を重んずる謙虚な心。作為を要さず無為自然が良い。気づかれることなく相手をそっと助ける陰徳が良い。金・名誉・権力を貪欲に求めず、世の幸せを願い、市井に誠実に生きる。そして、自然を深く畏敬し感謝する心。その日本の心を世界中に伝えてほしい。それが最後の願いだ」。それは、会社は利益だけでなく、人々を守り、地域を守り、環境を守るという大きな使命を持ち、そして、自然を守り抜くことの大切さを、日本人の心を最後まで訴え続けていたのではないでしょうか。


 力強くしなやかで鍛錬を積んだ歌声、情感をきちんと表現し迫力を与えてくれるオーケストラ、そして一人の人間と仲間・自然の素晴らしさを表した物語 、三位一体が織り成すその時、この歌劇は息を飲む迫力となります。五感を刺激し、心の訴える良い作品でした。


 この歌劇を鑑賞し、感じざるを得なかったことは、企業の社会的役割とは何だろうかというものです。今、残念ながら企業はその利益のみを追求し、企業の社会的責任というものを忘れている気がしてなりません。もちろん、これは企業のイメージ戦略と言っていい、メセナフィランソロピーとは一線を画します。


 持続可能な社会の実現を希求し、地域経済、地域住民、環境、自然保護、労働問題など、企業が少しでも自主的に取り組むことが必要ではないでしょうか。さらに重要なのは説明責任を果たしていくということです。説明責任という言葉を聞けば、東京電力を思い出す方も多いでしょう。まさに、彼らは自身の利益の追求、自身の存続を追及するために、自身の大きな社会的責任を忘れています。原発事故において、「安全神話」による後手後手の対応、その後の情報公開の在り方を考えれば、そういわざるを得ないでしょう。


 もちろん、企業は利益の追求を行う集団です。しかし、その利益の追求によって様々な社会的問題がおき得ること、さらには様々な人間に支えられているという事をきちんと認め、見つめなおす必要があるのではないでしょうか。


 伊庭氏は、社会をよくするためであれば、住友は無くなってもよいとも言っています。自発的に公益を重んじ、適切な企業統治や法令遵守を実施することなしには、日本人の心だけではなく、故郷の美しい風景、素晴らしい環境を守ることはできないでしょう。


 さらに言えば、今や労働者がコストになっているのでしょうか。一部の企業は労働者を使い捨ての駒として扱い、育て大切にする事をしなくなりました。企業の支えは、社会であり、その一部を労働者も担っています。ある意味、社会保障と言っても良いでしょう。労働をし、余裕や幸福を与えることで消費を得ることができる。その物理的、精神的な改善を図ることも、企業の社会的責任の一つであると考えます。








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