若い頃。
さだまさしコンサートのツアースタッフとして働き始めたばかりの頃。
私はよく言うと、
「飄々としている」
良くなく言うと
「ボーッとしている」
と、よく言われておりました。
先輩にしばしば、
「松本、なにボーッとしてんだ!」
などと、コンサートの仕込みの現場でよく言われていたのを思い出します。
まあ、心身ともに、俊敏なタイプではなかったのは確かなようで。
「あ、はいー。すみませーん、いまー」
などと、あたふたウロウロと仕事をしておりました。
さだまさしさんは昔からネイティブほめ達!でいらっしゃったので、そんな私に対して、
「松本は、考えてから動くタイプだな」
なんて言ってくださいました。
いや、さして考えてませんけど、と思いながらも、右も左も分からない時代にはありがたい言葉ではありました。
そんな、ネイティブほめ達!なありがたい上司でもあるさださんですが、
一方であんな人柄ですので、
「ま、蛍光灯って感じだな。点くのが遅い!」
「すみませーん!確かに」
などと、軽くつっこんでくださいます。
若い方は「蛍光灯みたいなヤツ」という言葉をもうご存知ないと思います。
昔の蛍光灯のほとんどは、グローランプという小さな管で2、3秒かけて電圧を上げないと点灯しませんでした。
なので、反応の遅いやつはよくそう言われておりました。
で、まさに蛍光灯な割に、点くと大放電してしまう私は、
「するってーと、一瞬で点くまさしさんは、裸電球みたいなもんすかね?」
とか無礼なツッコミ返しで、
「やかまし!お前、電気消しとけ!」
などと言われておりました(笑)。
さて、最近は我が家の中の照明はほとんどLEDとなりました。
ですので、昔のように、点くまで時間がかかるとか、グローランプが切れたとか、そんなこともいっさいなくなりました。
そしてLEDは長寿命。
ただ、LEDも長年使っていると、その性質が少しわかってきましたよね。
LEDは、だんだんと暗くなったり、
古くなると逆に昔の蛍光灯のように、点くのに時間がかかったりすることがあるようで。
いま、風呂場のLEDがそんな感じです。
なかなか点かなかったりします。
そして暗い。
あれ?ついに切れた?と思っても、30秒ぐらいしたら点いたりして。
もちろん、浴室対応の種類のLEDです。
取り替えればいいようなものの、
まだ切れていないし、風呂場がそんなに明るくなくてもまあ問題なし。
もうここのところ何ヶ月かそんな毎日です。
昨夜も風呂に入ったのは、12時過ぎ。
LEDが点灯しないまま洗面所の灯りで最初はシャワーを浴び始めたら、昨夜も遅れて点きました。
湯船に肩まで浸かりながら、LEDを眺めます。
「切れそうで切れない。暗くなってもなんとか点く。がんばってるのー!」
何やら、LEDが愛おしくなります。
「そうか、蛍光灯のような人生から始めて、LEDのように人生を終えていく。いいなこれ」
半世紀の時の流れと変化を振り返りつつ、そんな風に思ったら、楽しくなりました。
『あのジジイ、まだ切れねえ』
『こないだ切れそうだと思ったのによー』
『しぶといねー!』
そんな、LEDのようなジジイに、わたしはなりたい。
今日もイイ日に。