寒波で電力供給が逼迫
-やはり火力・原子力が必要な理由-
10年に1度とも言われる大寒波が襲来し、全国規模で電力の需給が逼迫している。
1月8日の平均気温(沖縄を除く)は2020年1月8日と比べて約8℃も低下。九州では1月7日に冬季として過去最大の電力需要を記録した。
3連休明けの1月12日も電力需給の逼迫は続き、関西電力エリアでは、午前8時台に電力供給に対する総需要の割合を示す電力の使用率が99%に達した。
大手電力会社でつくる電気事業連合会や各電力会社は家庭や企業に節電を呼びかけているが、電力の需給は「綱渡りが続いている」
寒波で電力供給が逼迫
☆電力ひっ迫の理由
有識者会議である「電気・ガス基本政策小委員会」が、19日に会合を開催。他の地域からの電力融通が相次いだこと、火力発電所などを最大出力で運転するよう要請する事態になったことなどを受け、原因や今後の対応を検討しました。
電力ひっ迫の理由としては、
「太陽光発電の発電量が大幅に減少したこと」
「10年に一度の寒さを想定して設定している電力需要を上回る事態が各地で起きたこと」
「火力発電の燃料の液化天然ガスの在庫が減少したこと」
などが挙げられています。
委員会は、再生エネルギーが拡大すれば、電力不足の恐れがますますひどくなるとして、原子力の活用を含めた、電源の多様化が必要であると指摘。
20日付日経新聞は、政府は、原発や火力発電を将来的に維持・活用できる環境整備を検討する、と伝えています。
☆原子力や火力発電などの「ベースロード電源」の強化を
政府は、2050年に二酸化炭素排出量を「実質ゼロ」にすることを目指し、火力発電から、太陽光発電などの再生エネルギーに移行させる方針を打ち出しています。
ただ、再生エネルギーは、悪天候などで発電量が落ち込んでしまうため、電気を安定して供給できる発電方法ではありません。
その一方、原子力や火力発電は、季節や天候、時間を問わず一定以上の発電量を見込める「ベースロード電源」と呼ばれます。
☆エネルギー政策を誤れば、産業が大打撃を受け、国力が大幅に縮小することになる
2010年までは発電に占める原子力の割合は3割を超え、火力の割合は4割程度でした。
11年の福島原発事故以降、原発の割合は1割を切り、代わりに火力発電が7割を超えています。
今後、火力の割合を減らし、原発を新設しないとなれば、ベースロード電源の割合は落ち込みます。そうすれば、灼熱、寒波、災害時等で今以上に電力供給が不安定になりかねません。
想定を上回る寒波がきっかけとなり、日本の電力供給の現状が浮き彫りになりました。
急速に火力発電を減らすことには慎重になるべきであり、新エネルギーについては導入時期や割合を慎重に検討する必要があるでしょう。
エネルギー政策を誤れば、産業が大打撃を受け、国力が大幅に縮小することになります。
「脱炭素」政策には見直しが必要です。