今回は、定例会での一般質問に向けた準備についてお話をさせていただきます。

 

11月30日に大分市議会令和2年第4回定例会が開会しました。

 

以前の記事でも紹介させていただきましたが、9月に開かれた子ども育成・行政改革推進特別委員会で、令和元年度のアンケート調査では「将来の夢や希望を持っていると回答した大分市の中高生は60.7%」という結果の報告を受けました。

 

 

極端に言えば、大分市では約4割、半分近くの中高生が将来の夢や希望を持っていないということになります。

この非常に残念な状況に対して、僕は何かできないだろうかと、3か月間必死に考えてきました。

 

今任期中最後の定例会となる、令和2年第4回定例会でこの問題に対する自分なりのケジメをつけるためです。

 

 

本当に色んなことを考えてきました。

 

この問題をどう捉えていくべきかということにはじまり、これまで行ってきた子ども関連施策のさらなる推進という観点や、大分市では不足していると考えられる中高生の居場所づくりという観点など、多様な視点からの質疑が行えるように準備を進めてきました。

 

その中でも、特に力を入れてきたのは、新たなアプローチからの施策の創出という観点です。

 

 

これまでに、子どもへの施策は様々な形で展開され、それらのアプローチの結果として、大分市では将来の夢や希望を持っている中高生が約60%に留まっているという事実があります。

 

そこから、僕は、新たなアプローチの必要性を見出しました。
 

新たなアプローチが求められると言っても、新しいものを簡単に見つけられるわけがないということは、重々承知しています。
 

そこで、誰か一緒に考えてくれる助っ人はいないものかと考えてみました。

 

 

散々考えてみましたが、ピーンときたのが、若新雄純さんです。

 

若新さんは、大学教員で実業家でテレビのコメンテイターでプロデューサーという不思議な人です。

 

総務大臣賞を受賞して高校現代社会の教科書の表紙となり、国連本部でのSDGs推進会議でも紹介された、福井県鯖江市の「JK課」事業をプロデュースした人だと説明すると、合点のいく方もいらっしゃるかもしれません。
 

ちなみに、「JK課」については、以前視察をさせていただいた際に記事をかかせてもらっていますので、そちらもお読みいただければ幸いです。

 

 

 

 

女子高生をまちづくりの主役とすることで、これまでにない化学反応を生んでまちづくりを活性化して、多様な市民の主体的なまちづくりへの参加を促し、JK課を教育や居場所としての性格も持つものへとプロデュースした若新さんは、青森、新潟、愛知、大阪など全国各地の自治体でもまちづくりの事業をプロデュースしており、新しい形の地方自治の専門家と言えます。
 

ということで、この方ならばお悩み相談のお相手たり得ると、ここまでに述べてきたようなことをつらつらと長文で綴り、「僕と一緒に大分市の子どもの夢と希望について考えてくれませんか?」と、ダメでもともとの精神で便りを送ってみました。

 

そうしたら、奇跡的にお返事が来まして、一緒に考えてくださるとのことでした。
 

・・・?!?!?!

 

 

興奮した僕は、「一刻も早く会ってお話したい!」ということで、大分県内の公務員有志の勉強会に協力をお願いして、先日、若新さんを勉強会の講師としてお招きすることができました。

 

なんというトントン拍子ぶり!!

 

勉強会は大いに盛り上がり大成功でした。


その勉強会では、自治体の施策に対する価値の置き方を見直すことが大きな柱として議論されました。

 

「税金を使う自治体の施策では、無駄は許されず、成果が求められることから、成果が出るのかということが新規事業の論点になりやすい。挑戦的な施策を行った際には、失敗する可能性もあるものの、そこには必ず発見と学びがあり、そのことに価値を置くことはできないだろうか。」というものです。
 

もちろん、そのようなギャンブル性の高い施策ばかりやってるわけにはいきませんが、このテーマは現代の日本の地方自治が持つ大きな課題の核心を突くものであると思います。


日本の地方自治では、経済学で言うところの合成の誤謬のような、ミクロの視点で正しいことでもマクロの視点では意図せざる結果が出るという現象が起こっています。

 

少し前に市長にもらった最新の地方自治に関する研究を網羅する形でまとめられた「日本の地方政府」という本では、「地方自治体が複数存在するという点は、国政にはない利点であり、相互参照することで、総体としての地方自治体は高い政策形成能力を持ち得るが、リスク回避のための横並び主義という面もある。地方自治体の一つの意味は、さまざまな試行錯誤を可能とするところにあるが、日本の地方自治体はそのメリットを実現させにくい。」という趣旨の指摘がなされていました。

 

このブログの中でも、多くの他都市における先進事例の紹介をさせてもらっていますが、僕たちは、この指摘の通り、相互参照を盾として用いる癖がついてしまっています。


ですが、本来の地方自治の強みというものを考えた時、相互参照の機能を矛とし、失敗をしたとしても、そこから得られる発見と学びを共有することによって、その矛盾を打ち破り、地方自治の進歩を加速させることができます。


また、そのような発想の転換によって生まれた施策であれば、既存のアプローチとは異なった形で、これまで光を当てることができなかった子どもたちにも、光を当てることができるのではないかとも考えます。


そして、そのことについては、地方自治の主体者として、他都市の挑戦の結果を待つのではなく、自らが率先して挑戦を行っていくべきであるはずです。
 

 

新たなアプローチからの施策を創出していくために、本来の地方自治の制度上の強みというものを再確認し、自治体の施策について「成果というものだけでなく、発見や学びということについても価値を置く」という古くて新しい価値観を持つ必要がある。

 

この答えを見つけることができました。

 

この答えを、市長をはじめとする大分市執行部のみなさんとの共通認識にすることを、今回の議会での最大のテーマにしようと思います。

 

 

とても大切なことに気づかせてくれた若新さんに心から感謝します。

 

若新さん、ありがとうございます!

 

加えて、一度の勉強会でこの答えまでたどり着いた僕自身の力に、我ながら脱帽です(笑)。

 

松木、天晴れ!

 

 

このマインドの転換とその広がりによって、日本の地方自治を加速させるべし!という野望を抱き、12月7日月曜日に9番手として一般質問の舞台に登壇することをご報告させていただき、今回の記事の結びといたします。