今回は、前回の予告の通り、7月に行った大分市の保有する個人情報の活用についての質疑の内容についてお話させていただきます。

 

 

 

個人情報の活用については、以前の記事個人情報の活用についての考え悲しいことをなくすためにで僕の考えをお話させていただいたことがありますが、それらをベースに質疑をしました。

 

質疑の目的は、大分市が保有する個人情報をできる限り集約化し、市民一人ひとりの特性を把握することで、その人その人にとって必要な可能性のある支援やサービスを、その人の手に届けていくシステムの構築を目指し、誰もがその個性を尊重され、自分らしく輝くことのできる社会の実現ための一歩とすることです。



まずは、大分市の保有する個人情報の集約化を図り、様々な活用を可能にする基盤を整備することについて質問しました。

 

情報を集約化する事業については、国内の先進事例が存在しています。

 

兵庫県姫路市における『行政情報分析基盤』構築の取り組みです。

 

これは、部局横断的に保有している情報を結合するというもので、この基盤によって得られる庁内ビッグデータを分析することで、政策の立案や評価に活かしていくことができます。
 

そうした取り組みによって、姫路市では、これまで数十時間を要していた情報の収集・分析作業をわずか数分で実施することが可能になる、世帯や地域といった条件を付した分析によって、より細やかな住民ニーズや課題を把握することが可能になるといった成果が上がっています。

 

行政運営の効率化と市民サービスの向上がもたらされたということです。
 

この事例の紹介から、その基盤となる保有する情報の集約化を進めていくことの意義を訴え、個人情報の集約化に関する大分市の見解を聞きました。

 

執行部からは、僕の提示した個人情報の活用の有益性についての肯定的な認識が示されると同時に、個人情報の活用が持っているリスクに対する懸念についても触れた上で、先進市の事例等も参考にしながら、検討したいと考えているという趣旨の答弁がありました。

 

検討という答弁は、僕が想定していたよりも前向きなものであり、今後の進展に大いに期待しています。

 

 

続いて、情報の集約化を行った際の、その活用法の可能性について質疑を進めました。

 

先に紹介させていただいた姫路市の例では、情報の活用は抽象化された後に行われています。

 

個人情報を個人が特定されない情報に加工をしているということです。

 

僕としては、これからの行政は、個人を特定できる文字通りの個人情報を活用していく必要があると考えています。

 

それは、個人情報を集約化して活用すれば、様々な観点から住民一人ひとりが必要とする支援を行政側からピックアップすることができ、過去に遡って情報を照会することで、より多角的に柔軟な対応が可能となり、オーダーメイドの行政サービスが実現するということと、その情報ストックを分析すれば、社会を進歩させる研究を数多く推進することができるはずだという想いからです。
 

しかしながら、こうした取り組みを行うためには、個人情報保護条例というハードルを越えなければなりません。
 

大分市の個人情報保護条例では、原則として、取得した個人情報の目的外利用を禁止していますが、いくつかの例外項目があります。
 

僕の読み解いた限りでは、大分市が保有する個人情報を集約化し、その活用によって市民サービスを提供することを一般化するということは、現状では難しいのではないかと感じました。
 

そこで、個人情報を集約化し、その活用をはかることを一般化することは、個人情報保護条例で禁止された目的外利用の例外に該当すると考えられるのかということについて、執行部の見解を聞きました。

 

執行部からは、例外には該当しないものと考えるという趣旨の答弁がありました。

 

ここは予想していた通りです。

 

 

そこで、個人情報保護条例のあり方について質疑を進めました。

 

個人情報保護条例の内容については、全国的にほとんど同じですが、特色を持たせている自治体もあります。

 

大阪府箕面市です。

 

箕面市では、『子ども成長見守りシステム』という独自のシステムを構築しています。

 

これは、子どもに関する情報を一元管理することで、支援が必要な可能性のある子どもを抽出し、訪問などによって行政側からプッシュ型で支援を行っていくというものです。
 

この際に集約される情報は、家庭の経済状況をはじめ、子どもの生活態度や学力情報など、多岐にわたります。
 

大分市の個人情報保護条例であれば、このシステムは、個人情報の目的外利用禁止の例外には当たらないと考えられます。
 

では、なぜ箕面市では、こうした取り組みが実施可能となっているかと言えば、平成27年に個人情報保護条例の改正を行っているからです。
 

生活困窮者、ひとり親家庭、虐待・いじめを受けている者、独居高齢者・障害者、不登校の生徒、引きこもりなどの支援を想定し、個人情報の目的外利用禁止の例外として「市の執行機関に置かれた附属機関の意見を聴いて実施機関が定める者について、その心身の保護又は生活の支援の目的のために必要があると認めた場合』という項目を設けています。

 

こうした例外項目を設けることで、支援の幅が広がり、市民サービスの向上に結びつくはずだという僕の考えを訴えた上で、個人情報の弾力的な活用を図るため、個人情報保護条例の条文を見直していくことについての執行部の見解を聞きました。

 

執行部からは、現時点においては、包括的な目的外利用が可能となるような条文の見直しには、慎重であるべきと考えているという趣旨の答弁がありました。

 

予想よりも辛い答弁で面食らいました。

 

 

そこで、僕は食い下がることにしました。

 

現在の状況として、特定の課題が表面に出てきた時に、その対応のために個人情報が活用されている点に触れ、課題を抱えている方に対して、その課題が深刻化することを未然に防ぐという観点で、個人情報を活用して欲しいんだという考えを述べた上で、個人情報の弾力的運用がもたらす有益性や他市の先進事例を調査することに関する見解を聞きました。

 

執行部からは、今後、箕面市が、この条例改正に至った経過、経緯について、メリット・デメリット、また、その運用のあり方などについて、調査したいと考えるという趣旨の答弁がありました。

 

必死で食い下がったら、総務部長が僕の想いを汲んでくれました。

 

 

部長への謝辞を述べ、調査を進めていただくことを要望し、大分市における個人情報活用についての今後の展望について質疑を進めました。

 

まず、保有する個人情報をできる限り集約化し、市民一人ひとりの特性を把握することで、その人その人にとって必要な可能性のある支援やサービスを、その人の手に届けていくシステムの構築を目指していくべきだという考えを述べました。

 

困りを抱えていても、行政からの支援にたどり着かない人が社会には沢山います。

 

これまでの行政は、様々な支援に関して、内容を告示し、必要とする方から申請を待つというスタイルでした。
 

ですが、これからは、困りを抱えた人を行政が見つけて、その支援をその人のもとに届けていかなければならないはずです。
 

それこそが、真に公正公平な行政サービスだと思うからです。
 

誰もがその個性を尊重され、その人らしく輝くことができる社会の実現のためには、行政が市民に対してサービスを積極的に提示していくプッシュ型の支援が求められます。

 

そのためには、個人情報の集約とその活用を図っていくことは非常に有用であり、また、その有益性については、今後のAIなどの技術の進歩で加速度的に増していくものであろうと思います。
 

以上のような考えを述べた上で、個人情報の活用について、個人の特性を把握し、その個人に合った支援やサービスをプッシュ型で提供していくシステムの実現を目指すことについて、執行部の見解を聞きました。

 

執行部からは、個人情報の活用範囲を一律に拡大して、プッシュ型のサービス提供を行うことは、現状では困難であると言わざるを得ず、大分市としては、今後とも、個人情報の保護を最優先する中で、それぞれの事案ごとに個人情報利用の必要性を見きわめ、個人情報保護条例に定める手続に従って適切な情報活用による、効果的な市民サービスの提供に努めたいと考えているという趣旨の答弁がありました。

 

 

・・・松木、敗戦でした。

 

非常に悔しいですが、簡単に僕が示したようなことが実現するとは思っていませんし、執行部が現状このように答弁することについても十分に理解できます。

 

僕は、個人情報の活用が僕たちの社会をより素晴らしいものにしてくれると信じていますので、この課題に対するハードルを一つ一つ丁寧に越えていき、いつの日か、必要な支援が必要な人の手に漏れなく届く社会を実現させてみせます。

 

ここでは殊勝なことを述べましたが、質疑の最後では盛大に負け惜しみを述べていますので、興味のある方もない方も、下記のリンクからチェックしてみてください。

 

令和元年第2回定例会一般質問の動画

 

 

持ち前の粘着性で、今後もこの課題に取り組んでいくことを宣言させていただき、今回の記事の結びといたします。

 

 

最後に一言・・・大分に元気とまつき!!