4月27日から30日までの間、豪州政府の招聘プログラム(今回のテーマは「経済安全保障」)に参加して、シドニー及びキャンベラを訪問し、閣僚含むハイレベルな豪政府関係者及び有識者と意見交換や視察を行いました。我が国として参考となると思ったことも多々ありましたのでしばらくシリーズでご紹介したいと思います。

今回は、第4弾として、豪州の「スーパー・アニュエーション:豪型確定拠出年金」をご紹介します。

 

1.財務省の方から以下のとおりお話を伺いました。

スーパー・アニュエーションはこの30年ほどやっている制度で、3.7兆豪ドルとうまくいっている。目的は国民のリタイア後の貯金という公的なものだが運営は民間組織がやっている。給料の11%が自動的に義務的に差し引かれてマイスーパーアカウントに入れられ運用される。この制度のポイントは、個々人が投資の種類を選ぶ必要はなく、特段の選択をしない限り、ベーシックな投資コースが自動的にプッシュ型で開始されるというところ。したがって、投資の知識や経験がない人(特に働き始めの若者たち)が取り残されずに済む。オーストラリア人は、このスーパーアニュエーションと年金の双方がリタイア後の貯金となる。なお一定以上のお金持ちは年金はもらえない。

 

2.感想 

日本政府も「貯蓄から投資へ」という流れを後押しするために様々な取り組みを行っています。日本は、高齢化人口が激増し若年層は人口減少していることを考えれば、年金のみで老後の生活をしていくことはますます難しくなるわけで、安定した投資利益が得られるように若い時から投資を行っていくことは安心の老後を送るためにより重要になると思います。投資に詳しくなく、資金が潤沢でなくとも、長期投資ができるようにした日本の「つみたてNISA」は優れた制度だと思いますが、これをプッシュ型とか義務的なものにすることを考えてもよいのかもしれないと思いました。