ホビィは街中を走ることにした。


街には色んな人達がいる。




子連れの母親
杖をついた老夫婦
若いカップル
走りまわる子供達
ものごいをする人

ぶつぶつ言いながら歩く老人
キョロキョロする盗人


どの人も今この街で生きている

生きているだけで希望が持てる



希望を持つのも絶望するのも人間だからなのだ

ホビィは苗に語りかける

「おい、聞こえるか?これが街でこれが人の気配なんだぞ。」

今日はよく晴れてまだ春は遠いのに暑いくらいだ。上着を一枚脱いで苗を包む


「お前は本当に何でも似合うんだなぁ」

にっこりして指ハートするホビィ


しばらく行くと

前からガラの悪い数人が歩いてくるのでホビィは道の端を走ることにした。



そこに立ちふさがる男たち

「おい、何をそんなに大事そうに抱えているんだ?」

黙ってよけるホビィ

誰かが足を出してホビィが転びそうになる



転んでも苗を離すもんか

クルリと一回転して立て直したホビィ
まるで踊っているような軽やかさ

男たちが追いかける
「おい、待て、そいつを渡すんだ」
「そいつを王様に渡して褒美をもらうんだ、追いかけろー」

男達の声は遠ざかってゆく

ホビィ「この苗は俺たちの希望なんだぞ。希望を盗まれてたまるか。」

街を抜けたらバター城が見えて来た
上着の中の苗にそっとキスするホビィ

つるが少し伸びて小さな蕾ができている

(やったー。つぼみが出来たー)

ピョンピョン跳ねながら走ってゆくホビィ

ラプモン「おーい、ホビィ」

ホビィ「つぼみが出来たぞー。あとは頼んだぞー。」

苗をラプモンにそっと手渡したホビィ、その顔は涙と汗でぐちゃぐちゃだった。

ラプモン「天は希望を持つものを助ける。そして私はただ走るのみ」


希望を抱えて走ってゆくラプモン


続く


イラストお借りしました。