0579 フレーミング・リップスの新作
これはちょっと凄い。
サマーソニックの時に演奏された新曲(1、16曲目)を聴いた時に、今度の新作はちょっと面白くなりそうだぞという予感は確かにあったのだが、まさか全編!にわたってこんなことになってるとは、あの時は露ほども思ってなかった。何だかんだいってメロウでコマーシャルな路線をふみ外すことは「絶対に」ないだろうと思っていたのだ。なのでこれは、かなりびっくりだ。
例えば1曲目はワンコード、ワンフレーズで突っ走るカンみたいな曲。国内盤のライナーで読めるウェイン自身の曲解説によると、10分以上に及んだインプロ的なセッションの初回のテイクのノリをそのまま使ってるとか書いてある。しかも「愛の嵐」(って昼メロのあれじゃないですよ・笑)にインスパイアされて出来た曲だと。おお。
んで最後まで(!)ほとんどこの感じが続くのだ。最初「ん?なんだかピリ辛じゃねえか」つって舐めてかかってたら、最後まで極辛だったので体中がすっかりヒリヒリしてしまう、そんなアルバムであった。これは完全にリスナーを選ぶ。お、おもしれえじゃねえか。
こういう偶発的な演奏から生じるテンションは、私もたびたびバンドのリハとかで目の当たりにすることがある。なのでよくわかる。やってる時はもちろん盛り上がってるんだけど、後から聴くとそこに客観的な視点が加わって、ちょっとどうかなと思ったりするのだ。なのでそれをそのまま形にすることが実はほとんど無いのだ。でも自分達なりにそれはやはりすごく面白くて、でもこんなん2度と出来ないかもなあ、なんて思うのである。実際それは思惑とおりにはなかなか再現できないし、しない。
こういうのを聴いて思うのはフレーミング・リップスは今、ものすごくバンドの状態が良いのでは?ということである。でないと、なかなかこういう高揚感は出ない。前作は「ソフト・ブレティン」よりも「ヨシミ」よりも好きだったけど、このアルバムはそれらと並べるのもはばかられる感じがある。リップスにこういう一面があるのは薄々感づいてはいたけれど、こういう形で真正面から来られると、さすがの私も身構えてしまうのであった。ものすごいカウンターぶりである。直感的にカッコイイアルバムではあるが、これが良いか悪いのか、私にはまだちょっと判断できない感じがある。ただただ、これはちょっとすげえなあとは思う。それだけは確か。
