0437 ジャージの二人 | 松田のこれ知っとるか?~炎の1000本ノック。

0437 ジャージの二人

ジャージの二人 (集英社文庫 な 44-1)/長嶋 有
7月からやってて気になってた「ジャージの二人 」を先日になってやっと観に行きました。結論から言うとオレ的にはこれ、大傑作でありました。原作もなかなか良いらしいのだが、あえて読まずに観たのは正解だったかもしれない。

この映画、状況や人物設定について意図的に説明不足に作ってあって、身も蓋も無いモノローグとかも一切なくて、観ているうちになんとなくこの人たちがどういう間柄で、それぞれにどういう背景があるのかがぼんやりとわかってくる。そういうプロセスを楽しむところが大きかった。

父親役の鮎川誠がほとんどそのまんまそこにいるような感じなのに違和感がまったく無かったり、会話の間とかディティールとか一つ一つがリアルで、堺雅人と本物の親子なんじゃないかと思えてくる(マジで!)のが面白かった。内容はほぼ原作通りらしいので、シチュエーション自体も面白いのだろうけど、その演出力も相当なものと見受けられました。水野美紀の存在感もなんだかリアルだったし、ダンカンとか大楠道代とか脇のキャスティングがツボである。タイアップとかはおそらく無縁なところでハルカリの4年前の楽曲が使われているのもグッドだと思った。なんとなく
百点を差し上げたい映画である。

みんな日常の中でいっぱいいっぱいで、主人公なんてどちらかというと救いようの無いような状況なのだ。しかし水平を流暢に泳ぐガチョウの如く、
口では何も言わない。いい大人なのである。なのでわかりにくいんだけど、でもなんとなくわかる。お父さんも岡田さんも似たもの同士みたいだし、妹だってどうやら学校でいじめられてるみたいだ。でもあの子もそういうことを言わないからわからないんだ。多分そうなんじゃないかな。そしてたぶんその通りなのである。気持ちに幅を、なんて言ってみたりしてる。そんな朴訥とした日常の中で、現実とリリカルが胸に突き刺さる。

あまり細かいこと書くのはやめておきたい。ストーリーは特にないようなものだけど、原作は読まないで観ることを強くおすすめします。私の場合はたまたまの事だったけど、ちょうど夏が終わる時期に観た事が嬉しい映画だった。