0071 これでいいのだ
5年前くらいかな?ダブリンまで行ってイヴァン・ダンドのライブを観たことがある。ロンドンでNMEを見てそれを知った。当時イヴァン・ダンドという名前はどこか懐かしく感じたものだった。へえ、今はソロでやってるんだ、なんて思った。それはちょっと見ておきたいかもだ。ダブリン行く行く、なんて思って私は飛行機に乗った。時間があったらついでに観光してきちゃおう。初めてのアイルランドだ。その時はまさか当日券が売り切れる可能性など考える由もなかった。
でその日の当日券は既に売り切れていた。オレ日本から来てるんですけどダメ?何とかならないの?と泣きを入れてお願いしてみたのだが、ダメだった。明日もやるし当日券が20時から売られるから早めの時間にカモーンだ、グッドラック!と諭されてしまった。どうしようかと思ったが、私はダブリンで延泊することにした。
翌日、19時にそこへ行くとすでに20人くらいの列が出来ていた。でなんとか当日券をゲットだ。昨日のオッサンが私に「オウ、良かったねえ」みたいな事を言う。うるせえ、オマエは黙っとれ。
イヴァン・ダンドのライブはギターの弾き語りで、当然というかほとんどが馴染みのあるレモンヘッズのレパートリーだった。あとは新曲と、私もよく知ってる曲のカバーをラフに演奏した。その時の新曲はそれから1年後にリリースされることになる"Baby. I'm Bored "に概ねは収録されている。私はほぼ最前列に近い位置で見ていたのだが、途中"My Drug Buddy"を歌い終えたイヴァンが私のところへつかつかと歩いてきた。「日本から来てるのってキミかい?」
イヴァン・ダンドの年齢は私より1個上らしい。私はロックを語る上で世代感というものはわりと大きいものではないかと思っている。同世代ならではの感覚というものがあって、あれはいい、これはダメだなどと思いながら、奇しくも同じような昔の音楽に遡る。当時はそんな音楽を聴いてる同世代のやつなんて、まわりにはなかなかいなかったけど、でも世の中には同じような人がいるものである。そういうヤツが私の好きな音楽をやっているのならば、そういうのは大事にしたいと思うのだ。イヴァン・ダンドは嬉しくなってしまうくらいカジュアルでいいヤツだという感じがした。でもなんでソロなの?とは思ったな。"Baby. I'm Bored"は相変わらず人懐っこく繊細なメロディラインが健在で、これ別にレモンヘッスでいいじゃん、と私は思ったのだ。まあでも、いろいろあったんだろうなと思う。
このアルバムは、なんとレモンヘッズ名義である。ソロとはやはりどこか違って、バンドのスタイルにこだわった感じが出ている。ゲストでJ・マスシスが2曲、聴いてみてすぐそれとわかるギターソロを披露しているのがなんとも微笑ましい。まあ気楽にいこうぜ、とでも言われているような気分になってくる。
