0054 マストアイテム | 松田のこれ知っとるか?~炎の1000本ノック。

0054 マストアイテム

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これ初めて聴いたのは85年くらいだったか。当時、私は高2とかで、実はピストルズとか聴いても何とも思わなかったのだけど、これにはキタです。実際はよくわかってなかったかもしれないのだけれど、ヒリヒリしてて、尖っていて、ロックと思った。


クール。ニューヨーク。文学。CBGB。パンク。しかしカジュアル。普段着のロック。トーキング・ヘッズや、パティ・スミス、ラモーンズ、みんなスタイルこそ違ったけれど、私は同じように強く共感を抱いた。それらはすべて、アートフォームとして成り立っているロックンロールだった。


でもそれらはどちらかというと、昔の音楽をさかのぼってたどり着いたという感じは否めなかった。当時でいうと7年前の音楽だったわけですし。でも今で言うと7年前って99年とかなわけでして、例えばそうですね、フレミング・リップスの「ソフト・ブレティン」が出たのが99年だ。今思えば、そんなに昔の話ではないわけで、でも当時と今の1年間の密度って違うわけだし、簡単に比較は出来る話ではない。とにかくそんなに昔でもなかったのだと今は思う。


それはともかく、このアルバムはA面の並びが最強だった。「シー・ノー・イーブル」に「ヴィーナス」に「フリクション」に「マーキー・ムーン」だ。完璧だった。


このアルバムは88年に初CD化された。当時、遅ればせながらCDプレイヤーを買ったばかりであった私は、実をいうとこのアルバムはダビングしたカセットでしか持っていなかったので、さっそく買った。で、びっくりしたのだ。何がって「マーキー・ムーン」がフェイドアウトせずに完奏してしまっているのだ。その時、私の中で確かなものであった何かが崩れたような気がした。


アナログというか、私にとってオリジナルの「マーキー・ムーン」は、少々思わせぶりに途中でフェイドアウトしていたのだ。そうあるべき曲だと私は思っていた。そのテイクは延々1時間くらい演奏されたとかなんとかいう話を私は聞いたことがあったのだけど、なんとそれは嘘だったのだ。


で、91年くらいだったかな?テレヴィジョンは再結成して新作をリリースして、来日までした。その時、私はすでに興味を失っていて、これらを完全にスルーしてしまった。実際の来日公演は「マーキー・ムーン」のイントロを何度もやり直ししたとかなんとかで、あまり良い評判を聞かなかった。


ああ、でも久しぶりに聞いたらこれ、やっぱりいいアルバムだなと思った。いかにもジャズの名演みたいなアンサンブルの完成度とテンションの高さに震えが来る。