欧州での「極右」台頭を冷静に分析すると…伸びるために大事なのは現実との折り合い…八幡和郎氏対談 | 松田学オフィシャルブログ Powered by Ameba

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日本を夢の持てる国へという思いで財務省を飛び出しました。国政にも挑戦、様々な政策論や地域再生の活動をしています。21世紀は日本の世紀。大震災を経ていよいよ世界の課題に答を出す新日本秩序の形成を。新しい国はじめに向けて発信をしたいと思います。

 6月に行われた欧州議会選挙の結果については、危険な「極右」の急激な伸びとして衝撃的に報道されました。フランスでは極右のRNがマクロン大統領の与党の2倍の約32%の得票率、ドイツでは極右のAfDが前ドイツ与党のCDUに次ぐ得票で、現与党のSPD・緑の党は大敗、イタリアでは現首相のメローニ率いる極右のFDIが大勝…ショックを受けたマクロン大統領は議会を解散して賭けに出ています。

 欧州ではいったい何が起きているのか、ヨーロッパ通の八幡和郎氏との対談でこの問題を取り上げてみました。

 ただ、少し冷静にみてみると、まず、これだけ多数の国民が支持する政治勢力を「極右」と表現している背景には、それぞれの党の発祥の経緯があるからであり、「極右」という言葉自体が誤解を与えます。

現在の欧州での政治の対立軸はもはや「右か左か」ではなく、「親EUか反EUか」であり、これは参政党が掲げてきた「グローバリズム全体主義vs自由社会を守る国民国家」という対立軸とも共通しています。

さらに、この対談で重要な指摘がなされたのは、これら「極右」が特に成功している国では、フランスのRNにせよ、イタリアのメローニ政権にせよ、現実と妥協し、具体的な政策面で「真ん中」の立場とうまく折り合いをつけているということ。それができずに、結党当初の立場に固執しているAfDの場合、その伸びに限界があると、八幡氏は指摘しています。

これは参政党が次の総選挙で伸びる上でも考えるべき大事な要素。であるからこそ、この党の政策(十の柱と政策カタログ)づくりでは、私の霞が関や永田町などの経験も踏まえて、現実的でありかつ、斬新な政策を工夫したつもりです。財政についての「松田プラン」などもそうです。

大事なのは「愛国保守現実派」であることではないでしょうか。結党の理念を現実に政治の場で実現するためには、多くの一般国民が安心して投票できる具体的で現実的な政策を前面に出していかねばならない、そのような思いを強めさせてくれる対談でした。

 

◆『八幡先生に訊く!欧州で台頭する、いわゆる”極右”政党現象とは!?』ゲスト:歴史家・評論家 八幡和郎氏

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●「極右」が台頭した欧州の政治潮流…仏独伊の状況

冷戦終了後、欧州統合が進み、シェンゲン協定やユーロ導入…と、統合が深化したところで何が起きているかを考えるべき。EU統合が進むにつれて、「左右」よりも、統合が進むことの是非が最大の関心事になった。真ん中の人たちはいいことだで一致。ブレグジットの投票では保守のキャメロンもEUから出ていくのは反対、労働党もそうだったのに、まさかの結果に。これが欧州全体の基本。真ん中よりやや左と右がよく似た主張歩するようになっている。

真ん中の人たちは、欧州統合をどんどん進めようとする。移民難民はなんでも入れるわれけではないが、来た人は可哀そうだと。経済では財政規律が大事。各国が自分で決められるものは減らしていこうと。LGBT万歳、死刑反対、新型コロナは強制してでもワ●接種、パンデミック条約は推進、中絶も問題ない。キリスト教的価値観が絶対ではない。

これに対して全部反対と言っているのが右と左だ。左右ともロシアに同情的。右の人たちにとっては、プーチンがキリスト教的道徳の守護者だから。左の人たちは昔のソ連邦の時代からの延長で親ロシア。パレスチナ問題は、左はパレスチナ支持。右はイスラエルの人たちは何するものやらだけで我慢して、イスラムはもっとひどいと。

自然保護もある。緑の党が後退したのは、経済危機。ロシアと変なことやると、特にドイツはパイプライン、割ときれいな天然ガスで原子力は要らないと言っていたのが、エライことになったと。

ドイツは伝統的に副総理と外務大臣は連立相手がとる。いまは緑の党がとっている。プーチンは地獄へ、ハマス殲滅、これは環境派からもノーで、緑の党は左から外れた。そもそもウクライナ戦争が起きたときから環境原理主義への反対が多くなった。

フランスでは、ここで解散して勝負を賭けないと大統領選のときにルペンが出てくるとマクロンは考えているのだろう。今回、議会選で勝ったら欧州議会選の結果を帳消しにできる。負けても、RNは過半数はとれない。それがいちばんありそう。そうなら、その他の所をかき回してマクロンは主導権。

また、もし、首相の座を渡して「コアビタシオン」になると、無茶苦茶に。そら見たことかと27年の大統領選では勝てるという読み。考えすぎ。策士策に溺れる…か。

そもそも極右の定義は?歴史的な経緯で言っている。歴史修正主義者が極右であり極左だ。出発点がどこかだ。RNはルペンは父に比べるとだいぶやわらかいが、根っこは一緒。根っこで議論する、ドイツでは共産党とナチスは非合法で似た扱い。

イタリアはごちゃごちゃして左派と右派に分かれている中で、左右が一緒になった。だから、左の方の大統領としてナポリターナ、右もベルルスコーニが出てきた。さらに今のメローニ首相はムッソリーニのファシスト系だが、首相になったら意外によくやっている。メリハリがついいる。移民問題の所でいちばんほしいものをとっている。なかなかよくやるなと。イタリア首相が目立つことは少ないが、女性として目立っている。

 

●「極右」でも現実と折り合いをうまくつけた党が伸びている

伝統的な極右の主張の中で取捨選択をうまくやる党が伸びている。ドイツのAfDは、昔言っていることにこだわっている。フランスはEU脱退と言うのはやめた。年金支給年齢を元に戻せとは言っても財政問題で口を濁している。反ユダヤの自分の父を除名したりと。ルペンやメローニは成功。

日本の保守派も自分たちは何をやりたいかを、もうは少し絞り込むべし。とんがったことも、これは検討課題に、など。そうした仕訳をすれば、日本の保守派が化けてくるかもしれない。維新もうまくやった。最初の公約はひどかった。大阪では合理的だが、全国では…そこを上手に抜いた。

欧州では対立軸がEU対反EU。右の人たちが極左よりも上手に流れをつかまえている。あまり極端なことを言うと、財政破綻とかが出てくる。伸びているところは伸びている十分な理由がある。愛国でありながら現実路線。目の付け所は良い。

医療問題については、世界的に真ん中の人たちがやっていることについて、これでいいのかというのはかなり出ている。日本より彼らはもっと深刻に考えている。(コロナやワ●)。

日本では平均寿命を伸ばすのが正しいのかという議論があまり出ていない。マクロンは安楽死にかなり踏み込んでいる、自分で死期を選べるというのは出てくる。人間の生き方などもう少し欧州でやっている議論を日本でもそろそろ。参考になる部分は多い。