イランによる対イスラエル反撃…お互いどこまでやる?各々の国内事情とイランの思惑:宇山卓栄氏対談 | 松田学オフィシャルブログ Powered by Ameba

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日本を夢の持てる国へという思いで財務省を飛び出しました。国政にも挑戦、様々な政策論や地域再生の活動をしています。21世紀は日本の世紀。大震災を経ていよいよ世界の課題に答を出す新日本秩序の形成を。新しい国はじめに向けて発信をしたいと思います。

 ついにイランがイスラエルを大規模空爆!これで中東情勢がエスカレートして第三次世界大戦?過日、今回の事態の元となったイスラエルによるイラン大使館攻撃を巡り、宇山卓栄氏と緊急対談を配信しましたが、そのときはイランによる報復は別の形をとるという読みでした。

 しかし、イランとしてはイスラエルをこうして攻撃せざるを得ない国内世論という事情があるとともに、米国との直接対決は避けたいという本音があります。今回の対イスラエル攻撃もほとんどが撃墜され、その程度の攻撃にとどめていることにもイランとしてのメッセージがあるのでしょう。

 これからどの程度のイスラエルからの反撃があるのか予断を許しませんが、イスラエル側にもネタニヤフ政権内での内部分裂、軍の暴走といった事情が色々とあり、中東情勢は結構、危ないといえそうです。イランの本音は、米国とは戦争せずに排除して、中東での覇権を握りたい、だからハマスをしてイスラエルに戦争を仕掛けた。

しかし、こちらも危ないのはイランよりも、イランのコントロールを超え始めたフーシ派やヒズボラの暴走かもしれません。そうなると世界大戦か…。

事態が動いている中でこれからの展開をどう読むかを考える素材として、今回の攻撃前に行われた宇山氏との本対談を緊急でご紹介いたします。

 

◆『緊急!イランの報復はあるのか、イラン大使館攻撃』ゲスト:著作家 宇山卓栄氏

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4月1日のシリア首都ダマスカスのイラン大使館周辺への攻撃は、大使館の攻撃という異例の事態。これは、イスラエルがムハンマド・レザー・ザヘディ准将ら、イラン革命防衛隊の精鋭部隊の7人を殺害したものだった。

ザヘディ准将は革命防衛隊の国外作戦を担う精鋭「コッズ部隊」の司令官の1人。

イランにとって戦略的に重要なシリアやレバノンを担当。だからシリアに赴いていた。

これは2020年に米軍に暗殺された同部隊のトップ、スレイマニ司令官に次ぐレベルの高官殺害。

 

報復、今後の可能性は…ハメネイ師が必ず報復すると。

イスラエルとしては、イランを挑発攻撃した。そのことでイランの反撃を誘う。イランからの攻撃があれば、アメリカの参戦を誘える。

イスラエルは常に中東危機を拡大したい。グレイター・イスラエルのために、米国を巻き込みながら。その中で今回、狙った。

そのことで、イランはどこまで挑発に耐えられるかがポイント。

 

他方で、イスラエルは内部分裂…大使館攻撃はイスラエル軍部の暴走の中で起こった攻撃。

必ずしもネタニヤフ官邸筋が関知していなかった可能性。関与したとは政権幹部は最初は言わなかった。では、軍部はなぜ?

 

ザヘディはシリア・レバノン担当。レバノンのヒズボラのイスラエル攻撃がいま、活発化。その背後には当然イランがいる。両者を結び合わせる要がザヘディ。

諜報は人的信頼。ザヘディを消せば、ヒズボラとイランとの関係を覆せる。

 

スレイマニ殺害の時もそうだった。彼はイラクを担当していた。イラクの親イラン組織のトップと会っていた時の米国による爆撃だった。

米国の思惑は、イラクに親イラン勢力がこれ以上広がることはたまらん。両国の接近を食い止める作戦。今回も戦略的効果があった。

ネタニヤフ政権は軍部や諜報機関を掌握しきれていない。

同じ日にNGOの食料支援団体をイスラエルが攻撃。ボランティア団体。これもネタニヤフ政権側ではなく、軍部が暴走。

軍部としては、ガザの占領で兵糧作戦。飢え死にさせても構わない。それなのに食料を届けるのは何事かと。見せしめにNGOを軍部が攻撃してもおかしくない。

既に各NGOがビビッてガザに近づこうとしない。イスラエル軍には効果。

住民だけでなく、ハマスにも食料は行き渡るから。

 

ネタニヤフは首相の立場で国際社会全体をみなければいけないが、軍部は違う方向。

ネタニヤフはバイデンからの圧力に屈している。それに対して、強硬派はネタニヤフを弱腰だと怒っている。

 

昨年10/7のハマスの攻撃はモサドも知らなかったと言われるが、あり得ない。偵察衛星でわかる。やらせた。ネタニヤフ官邸筋に、わざと情報を上げなかった。

ネタニヤフは知らされてなかったというのは本当だったと思う

我々は奇襲作戦を受けたという建前が強硬派にはほしかった。日本の関東軍のような…。

 

イランによる報復の方法は?一般的な見方は、「段階的な応戦」。

これは、直接イランが、ではなく、親イラン勢力のヒズボラ、イエメンのフーシ、ハマスなどを使う。抵抗戦線をリモートコントロールするとの説。

 

イランとしても米国の介入は避けたい。直接の軍事衝突なら、さすがのイランも打つ手がない。イランは官僚も指導者も合理的。抑制的。ライシ政権は戦略観を緻密に描いている。

確かに、今の政権は米国に強硬だが、最後にどこかで手打ちというのは分かっている。

わかっていないのはイスラエルの軍部。

 

ただ、それが今回も当てはまるか?

ヒズボラの指導者のナスララが「イランの報復は近い」と。今まではイランの指導のもとにイスラエルを攻撃。

しかし、ナスララは今までのやり方ではダメだ、直接イランが出てこないともたないと。

もう私たちの問題ではないと。

もう一点、イランの世論。右派グループは何やってんだと血がのぼっている。

今回の中東紛争でも、イラン政権が抑制的に動いていることについて、国内から強硬論が台頭。

イランが直接攻撃しなければ、世論が持たない。

 

かつてスレイマニが殺害された後のロウハニ政権は、弱腰の腑抜けということで支持率が下がった。そのことがライシ政権誕生につながった。穏健政権から保守政権に。

黙って見過ごせない。政権の威信を保てない。

 

さりとて、直接攻撃なら米国が黙らない。苦心している。

イスラエルを調子に乗らせておくわけにもいかない。

しかし、米国の参戦を誘わないように。

 

(この時の宇山説→)目には目を歯には歯を。ハンムラビ法典。バビロニアの伝統。同じことをイスラエルの大使館を。こっちもだと。これでおあいこという発想では?では、どこか?イランの周辺ではアゼルバイジャンあたりの大使館を狙う可能性。イランの影響力の強い地域。先般のナゴルノ・カラバフ紛争は、ロシアの影響力の強かったアルメニアをアゼルバイジャンが制した紛争だったが、イランはロシアとの関係の中でアルメニアとの友好関係。アゼルバイジャンとは仲が良くない。狙いやすい。(→実際にはそれ以上の報復となりましたが…)

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中東でのイランの狙いは、イスラエルは虐殺者だと言い募り、イスラムの連帯を掲げて、イスラムの覇権をイランが握り、米国の影響力を中東から排除すること。

これまでの中東の盟主はサウジ、米国と接近、それにブレーキをかけようとハマスを利用してイランが中東危機を煽った。

イランとしては、米国と直接やりたくない中で、自分たちの核武装の正当性を周辺アラブ諸国に認めさせ、覇権を認めさせたい。

 

ただ、ヒズボラやフーシ派がイランのコントロールを超えて強硬策に出る可能性。

特にイランはフーシ派をグリップできていない。彼らが何をするかで世界大戦の可能性。