これから自民党では総裁選が行われ、秋の総選挙に向けて政治の季節に入っていきますが、現下の最大の政治テーマは、やはり何といっても、コロナ対策をどうするかでしょう。
菅政権の内閣支持率が低下しているのも、その原因のほとんどは新型コロナ対策の迷走。本来であれば、日本は新型コロナ対策の科学的基準を再設定し、モードチェンジを決断できる状況にあるのですが、デルタ株が蔓延する中にあって、菅政権としても、そうした局面転換を打ち出すことを逡巡しているのが現状ではないかと想像されます。
しかし、いつまでも変異のたびに感染力が強まり、感染の山が大きくなっていくコロナウイルスに対して、緊急事態宣言を繰り返し、国民の社会経済活動を抑制する方策を続けるわけにはいきません。
まず何よりも必要なのは、指定感染症として現在のようなペスト並みの扱いをやめ、新型コロナを風邪やインフルなどの通常の感染症と同じ扱いにすることで、国民に医療サービスを円滑に提供できる体制を取り戻すこと。そのために、政治家が国民を説得できるために必要なのが、テレビメディアや「専門家」?たちの煽りによって、国民に広く形成された「コロナ脳」を、感染症の正しい知識によって治すことです。
その上で少しでもお役に立てればと思い、井上正康(大阪市立大学名誉教授)などから提供された科学的な知見を踏まえて行ってきた私のこれまでの発信活動の中から、新型コロナへの認識の転換を政治家が有権者に促すためのわかりやすいキャッチフレーズを、以下、整理してみました。
Ⅰ.新型コロナとの向き合い方
●「感染者」(本当は「陽性者」)の数を恐れるのはやめましょう。
新型コロナはもはや正体不明のウイルスではありません。モードチェンジのときです。
感染症の正しい知識と、全体をみる俯瞰的な判断を!!
・ウイルスは絶滅しません。感染はなくなりません。
「ゼロコロナ」はあり得ません。「ウイズコロナ」への知恵がコロナ禍からの脱却への道!!
・新型コロナは感染力のとても強い風邪です。
新型コロナウイルスを甘くみてはいけません。感染は社会全体にすぐに広がります。
人間の力で感染を抑えられる相手ではありません。
人と人とを離しても、人とウイルスを人間の力で離すことは困難です。
・新型コロナウイルスはいつまでも変異を続け、感染の「山」は高くなっていくものです。
・感染拡大のたびに緊急事態宣言をしていたら、キリがありません。
・新型コロナウイルスが変異を繰り返すのは、ウイルスが人間社会との共存をめざすため。
感染が広がる→人間の側で免疫も広がる→感染の山は収束
→ウイルスは感染力を強める形で変異する→また感染が拡大する→免疫が広がる
…普通は、この過程を何回も経て、「弱毒化」して人間と共存。
→新型コロナの日常化、これが真の収束です。
・だから、「第五波」でも、陽性者数は今までよりも高い山ですが、重症化率や死亡率は以前よりも低下しています。絶対数でみてはいけません。比率でみるべきもの。
・私たちは毎年、インフルエンザで今回とは比較にならない「感染」を経験してきました。
・インフルエンザで医者にかかる人は毎年1,000~1,500万人
(無症状感染者を入れると6~8千万人の可能性も。)
>> 今回の新型コロナの陽性者数1年半で累積139万人
うち、医者にかからねばならないほどの発症者はその一部。
・毎年インフルエンザに対してPCR検査をしていたら、今回以上の大パニックでした。
・死者数もインフルエンザとあまり変わりません。
インフルエンザは年間約1万人…今回は1年半で累積約1.6万人←相当な過剰カウント
・「収束」とは私たちが新型コロナを風邪や季節性インフルエンザと同等の存在と扱うこと。
・風邪やインフルエンザと同じく、新型コロナも感染自体はなくなりません。
ワクチンでも感染自体はなくなりません。ワクチンの効果は当面の重症化の抑制です。
(ワクチンの抗体値は数か月でなくなる。変異株には弱い。
⇔自然感染による自然免疫は変異株にも強い。)
・新型コロナの後遺症も、その多くは従来の風邪などでもみられたもの。
・もちろん、感染して発症するのは困ります。
・感染するかどうかはウイルスの感染力と人間の免疫力とのバランスで決まるものです。
大事なことは免疫力。感染しても発症や重症化しにくい免疫力をつけること。
…屋外に出る、運動する、人と会う、バランスの良い食事、精神的なリフレッシュ
むしろ「免疫力増強国民運動」を
・また、風邪やインフルと同じように、うがい、手洗い…に従来以上に気を付けること。
それ以上の社会活動の制限は不要です。
・変異の順番にウイルスに身をさらしてこそ強力な免疫が形成されます。
・自然感染で何十種類ものポリクローナル抗体が出ます。変異株に強いです。
・国境封鎖、ロックダウン、ステイホーム→ウイルスから逃げる
→免疫力の軍事訓練が遅れ、発症リスクがかえって高まります。
●「感染者」を過剰にカウントしているPCR検査はできるだけやめましょう。
・発明者が感染症対策に使用してはならないと言い遺したのがPCR検査。
・検査は医師の判断で、が、医療の原則。
・一般に使うものなら簡易な抗原検査キットの普及を。
Ⅲ.医療政策こそが肝
●コロナ問題は社会政策ではなく、医療政策の問題です。医療界と医療政策が国民全体を振り回しています。
大事なことは、発症者に直ちに対応し、重症化を効果的に抑制する医療体制の構築です。
・日本は新型コロナのおかげで超過死亡数がマイナスになった稀有な国です。
…その原因は「ウイルス干渉」だと考えられます。インフルがなくなり、インフルによる死者が減った分、差し引きで全体の死者が減少。)
・しかも、人口当たり病床数は世界最高水準。
・なのに、「医療崩壊の懸念」?→何かおかしい。
・コロナの医療現場は立派ですが、国民生活を犠牲にしても守るべきは医療!?
・コロナ病床の比率が他の先進国より低い。
「発熱外来お断り」…新型コロナに対応していない開業医が多い。
民間病院が8割、中小病院が多い→コロナ対応を指令できない。
法的権限の発動は一般人の活動制限よりも医療に対してこそ必要。
もともと進んでいない医療連携に向けて医療システムの改革こそが必須。
●発症者への医療資源の集中で、医療の正常化を
・コロナはペストではありません。
・陽性者を直ちに隔離して保健所が対応する運用が、真に医療を必要とする人への医療サービスの提供を困難にしています。
・医療は発症者を対象とするものとの医療の基本に立ち返りましょう。
・毎年、1,000~1,500万人ものインフルエンザの患者にも、日本の医療システムはビクともしていません。
Ⅳ.社会的行動抑制策の撤廃へ、政治決断!!
●緊急事態宣言も行動自粛策も人流抑制策も飲食店等への休業要請も撤廃し、真に効果のある対策に転換しましょう。
世界的にロックダウンは成功していません。免疫力強化にも逆行しています。
・人の動きと感染拡大は相関関係がありません。
・東京都で昨年末に向けて起こったのは…GoToトラベルの停止・ステイホームで家庭内感染爆発。→感染ピークを後ろにずらすどころか前に持ってきて医療崩壊させ多くの死者。
…クリスマスから年末まで人出が減っていたのに感染爆発でした。
・緊急事態宣言に感染収束の効果はありませんでした。勝手に増えて勝手に収束するのが新型コロナウイルスです。
…しかし、未だに発生初期の対策である封じ込め政策から卒業していません。
・「三密回避」が効かないのは、「空気感染」よりも「糞口感染」の可能性が強いから…。
ウイルスが上気道から入って起こる肺炎だと多くの専門家が誤解。
すでに新型コロナの病態は相当程度解明、未知のウイルスではなく「既知のウイルス」
・新型コロナは血栓が体中に飛ぶ血管の病気。
→口腔粘膜の傷から血管に侵入して腸で増殖→排便とモノへの付着→手指→口
…これがメインの感染ルート。
ならば、今までの感染防止対策は全く違う。
社会的行動の全般的な抑制ではなく、感染ルートに即した効果的な対策ができるはず。
・社会経済活動の再開へとメリハリある対策を考えることが為政者や専門家の本来の役割。
・対策として社会活動を停止することは知恵がない証拠。誰でもできます。
・すでに社会的行動抑制による犠牲者は新型コロナを上回っています。
・「専門家」の立場は「新型コロナ感染者」だけを見ていて、他をみていません。
・政治の役割は総合的なバランス判断。
・英国ジョンソン首相のような英断を!!
下図は、日英両国の7月8日時点での新型コロナの状況を比較したもので、日本は英国よりもずっと良い状態を示しています。しかし、ちょうどこのとき、英国ジョンソン首相は新型コロナに関する社会的な規制の原則撤廃を決断したのに対し、日本政府は、今回の第4回目の緊急事態宣言という、英国とは逆の規制強化を決断しました。