【動画紹介】最近の中国情勢月刊戦略論的中国最新情報 20年12月~21年1月チャイナウオッチング | 松田学オフィシャルブログ Powered by Ameba

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日本を夢の持てる国へという思いで財務省を飛び出しました。国政にも挑戦、様々な政策論や地域再生の活動をしています。21世紀は日本の世紀。大震災を経ていよいよ世界の課題に答を出す新日本秩序の形成を。新しい国はじめに向けて発信をしたいと思います。

決して嬉しいことではありませんが、リアリズムの立場に立てば、中国決して侮るべからず。私たちが希望的観測で中国の実力を読み誤っているようでは、日本の国益を守ることはできません。ここでご紹介する番組は、松田政策研究所チャンネルで「知中派」の代表格、中川コージ氏と毎月行っている中国情勢定点観測の対談のうち、2021年1月末に収録された番組です。

ここでは、前回、米大統領選の隙を突くかのような、中国の影響力拡大に向けた経済圏作りや、中国の世界覇権を完成させるとされるデジタル人民元の脅威など、さまざまな面で世界覇権強化の動きを強めた昨年11月の中国の動きが中心でしたが、今回は、その後、昨年12月から今年1月にかけての動きを分析しています。

この間も、中国は着々と…なんと言っても、中国が科学技術面で米国を凌駕せんとするような成果を発表していることが挙げられるでしょう。もう一つ、注目されるのがワクチン外交です。これでは「自由で開かれたインド太平洋」も危うい…?

 

 

●科学技術3つの脅威

・量子計算機…「九章」(きゅうしょう)を12月に開発。日本の富岳の6億年分を200秒で計算するコンピュータ。ゼネラルなのがスパコンで、量子計算機はその一部。脅威は脅威。量子コンピュータの強さは、パスワードの作成やハッキング。これが進化するとサイバーセキュリティの概念が覆り、暗号が簡単に見破られる。量子通信衛星も2016年に米国に先駆けてというのが予想外だったが、量子コンピュータも中国が先行した。

 

・人口太陽…2020年代には実用化しないが、国際的な枠組みの中で2040~50年ぐらいに世界全体での実用化が目指されている中で、仲間内でどこがイニシアチブをとるのかという点が脅威。同じ船にとなったときに中国の技術が入った核融合になる。完全に敵なら敵対できるが、仲間内のなかでのイニシアチブで中国が先行したことが脅威。

 

・月面探査プロジェクト…12月の3つめの科学技術のニュース。科学技術だけでなく安全保障、宇宙軍に関わるもの。月面上の主権争いで中国が先行。3つの脅威の12月だった。

 

→もう米国を抜いている。米国が選挙戦の最後で揉めている中で、中国は政治的安定性があって、マウンティングしてきた。

 

●ワクチン外交

これから始まる。12月のはじめに、王毅外相が、2,000億枚のマスクを輸出して、20億着の防護服を出して、8億のPCR検査キットを海外に出したと…。

石家庄での市中感染など、起きるたびに潰しにかかる。PCR検査のバス、移動施設で1,000万人を5日間で検査。彼らができているということは、それを第三国に持ち込んで影響力を発揮。死の商人的なビジネス拡大、途上国へのツール、そこに着目すべき。

 

中国は不活化ワクチンで3社、1月初旬の段階で1,000万人接種終了。携帯アプリで申し込み。14億の人口、年間3社+何社で50億の生産、一人2回でも20億回分あまる。中国製は危ないが、タダ同然の廉価な価格で途上国に。

中国の支配下に置く。遺伝子ワクチンはコストが高い。冷凍輸送、保管コスト。背に腹は代えられない。温度管理などアフリカの奥地などでは無理。中国製は運びやすく安価である。普通に考えれば飛びつく。途上国に行き渡りやすい。

 

インド太平洋構想(FOIP)は、中国としては米中対立のコンテキストの中でのカウンターとして打ったものとしては、「それはそもそもうまくいかないでしょう、足並みはそろわないでしょう」とみている。元々、中国には「一帯一路」がある。これはインド太平洋があってではなく、それとは関係なく動いているもの。ワクチンは、その重要なツール。

 

●コロナ情勢

・陽性者への強硬措置

発表数字は信用できないが、一年前とは違う。大衆の関心が高まっている中で、ここで行き過ぎた嘘をつくのは当局にマイナス。そこまで隠してはまずい。その意味で、完全なウソをつくフェーズではない。

自治会的な相互監視で漏れのないよう動いている。問題は、地方政府が少しでも出るとお咎めを受けること。「防疫人民戦争」だとして上を突き上げているが、中央は戦争と言うな、軽々しく使うな、と。地方のトップには難しいかじ取り。隠すと怒られるし…。

 

防疫に対しての私権制限での居場所特定には抵抗の手段がないように見えるが、結構、賛否が拮抗。政府が私権制限をするのはけしからんという意見が、中国でも半分。日本も賛否両論で、我々の感覚と近い。文句を言う人もそれなりにいる。

 

・WHO視察団

去年の夏に数週間いたのに北京から武漢に行かなかった。世界が疑問。今回は武漢に行くが、もう一年経ったので、隠ぺいするなら相当できている。あとかたもなく。去年の夏は入れなかった、今回の1月は入れた。何かが変わった。証拠が消えた。終わったのだろう。

 

●デジタル人民元

法制度をいま揃えている。12月半ば、中央銀行が発表、現金を受け取らなかった場合は処罰の対象になる、と。わざわざ法定通貨についてそんなことを発表する国があるか。単純に現金の法的根拠をアピールするものか?デジタル人民元受け取り拒否=現金受け取り拒否であることの明確化だった。同時に、アリペイ、ウィチャットペイは法的処罰を受けない、それよりデジタル人民元は優位だと当局がにらみをきかしたもの。

 

五輪会場を習が視察、これは絶対に失敗できない、デジタル人民元も五輪開催も必ず成功させるとの意思。世界中で新型コロナ撲滅させないと北京五輪も開催できないと中国が追い込まれているのが、ワクチン外交でもある。背水の陣。

 

●EUと中国との投資協定

既定路線。ドイツはフリゲート艦を太平洋に派遣するといっても、反中に走っているわけではない。新型コロナの犯人探しと人権問題が出てくる中で、各国の反中意識が高まっているので、中国から離れる政策をとらざるを得ない中で、実利面では中国を切り離せない。

バイデン政権の欧州への介入がどうなるかもわからない中で、バイデン政権ができる前夜に、お互い不完全なものでも合意を急いだ。

 

●米中関係

・ポンペオ前国務長官が政権末期にバイデンの宥和策にタガをはめたことについて

ポンペオによるジェノサイド認定に対して、反中政治家として中国は制裁。バイデン政権には友好的な発信をしているが、実際に危ないのは、バイデン政権がどうするかの見極めが出来ていないこと。パリ協定にも復帰した。米国の撤退を中国が埋めていく戦略だったのが、バイデンが元に戻ってきている。

 

今までの戦略とは違うことをしなければならないので、友好的な発言の背後で、中国はビビっている。一国主義なら勝ちパターンを中国ができたのに。今は見ている状況。ここはプロっぽい、表面は笑いながらの闘い。トランプの時は表面で戦っていたが。今は下で蹴り合いしている。

 

・バイデン政権で米中関係はどうなるか

バイデンがどういう戦い方をするか。トランプの時はそれなりに中国にとってきつい面はあったが、バイデンの多国間主義は中国には痛い。対米強硬は、今はあまり出てきていない。今は内政に力を。内需を中心に「双循環」の局面。バイデンが完全に国際協調を描いてきたときに耐えられるよう内需を強める。

 

次の第四次五か年計画(2024年まで)をみてもそう。これは米中対立で国際協調で耐えるための戦略。2024年の次の大統領でどうなるか。バイデンの国際協調が奏功していれば、中国は殻に閉じこもる必要。今までのように外に出にくくなる。バイデンが失敗すれば、共和党の強い大統領が出ると怖い。変に動くと叩かれる…。いずれのシナリオでも、ここ4~5年は積極的に動けない局面と想定していると思われる。

 

どちらでも北京中央はなかなかきついと考えている。2025年はまだ米国が強い。ここでは「戦いません、勝つまでは」。2040年までに本格的な対米チャレンジをすることを考えているなら、2020年代は早回りしない。チャンスが来れば、そこには入ってくるが、そうでないなら、資源の配分をそこにはせず、科学技術を含め内政に力を注ぐ。

 

一国主義が中国にチャンスをつかませていた。民主党政権の総体としての政策とバイデンの個人的な弱みとは異なる。

 

●バイデン就任と台湾

それまでは台湾に対しては手を出さない。不確実性があるから。一触即発との見方は必ずしもそうでないと前回言った。バイデン政権になったので、通常モードのリスクとして台湾リスクが高まった。

 

バイデン政権自体がトランプのように中国とかっつりと闘うかはまだ見えない。どこまで締め付けるかという意味での闘いは、まだ見えない。台湾に米国が出てくると、中国首脳は完全に面子をつぶされる問題になる。米国が出ると反撃となる中で、バイデンのほうも動きにくい。両方で見合っている。

 

両方が消耗しかねない台湾にどうするか。トランプなら気さくに叩いたが、バイデンはそうでもない。中国はバイデンですごくやりにくくなっている。

ただ、バイデン政権は相当失敗するだろうとみている。トランプのような単純な穴ではないので、どこに穴が開くのか、玄人好みのウオッチングが必要になる。

 

◆『米国バイデン政権への牽制!?量子コンピューター、デジタル人民元、新技術喧伝。月刊戦略論的中国最新情報1月号』ゲスト:戦略科学者 中川コージ氏

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●ご参考

 この前月の11月のチャイナウォッチングにつきましては、松田学が下記のパワーポイントに要点をまとめています。

 

2020年12月に配信された11月チャイナウォッチングの番組はこちらからご覧いただけます。

◆中国の新型コロナ最新”プロパガンダ”と小物・王毅外相来日。月刊戦略論的中国最新情報11月号』ゲスト:戦略科学者 中川コージ氏

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