松田まなぶのビデオレター、第9回は「内債楽観論への警鐘、インフレと金利への拘束」 | 松田学オフィシャルブログ Powered by Ameba

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日本を夢の持てる国へという思いで財務省を飛び出しました。国政にも挑戦、様々な政策論や地域再生の活動をしています。21世紀は日本の世紀。大震災を経ていよいよ世界の課題に答を出す新日本秩序の形成を。新しい国はじめに向けて発信をしたいと思います。

 日本の場合、国債はほとんど国内で消化されているから問題ない、ということがよく言われます。本当にそうでしょうか。確かに、債権と債務が国内ではチャラですし、海外に対して多額の債務を負っているギリシャのような国とは異なり、日本は世界最大の対外純資産国です。しかし、国内で保有されているからこそ、日本の場合、債務国とは別の意味で、国債には大きな問題があります。なぜなら、私たち日本人自らが日本政府に対する債権者だからです。債権者にとっては債権の価値が何よりも重要です。

 第9回「内債楽観論への警鐘、インフレと金利への拘束」チャンネル桜、5月19日放映。
 こちら↓をクリックすると、今回の松田まなぶの動画を見ることができます。

 このシリーズではこのところ、アベノミクスが遂行している「金融抑圧」、つまり、インフレ率を上げ、金利を抑制して実質金利をマイナスにすることで、財政をラクにする政策を取り上げていますが、それは債権者から政府への隠れた所得移転でもあります。両大戦後に多くの国で財政を救ったのはインフレでしたが、インフレで国債の価値が低下すれば、困るのは国債を保有する債権者です。インフレは最大の増税とも言われます。他方、金利があまりに低ければ債権者にとっては利回りが低いですし、かと言って、金利が大きく上昇すれば、それは国債の価格を下げますから、これも債権者にとっては困ること。
 これだけ膨大な借金を抱えながらも、デフレによる異常な低金利で回ってきたのが日本の財政でしたが、実は、景気が回復すれば、今度は金利が上昇して利払い費が膨張することで財政がかえって悪化する可能性が大きいということも、日本の財政の実態です。景気が良くなれば財政が良くなるのが普通ですが、日本の場合、あまりにも国債発行残高が多いため、逆のことが起こってしまう。デフレという経済の異常な状態の上で回っていた財政も異常です。だから、インフレ率を上げて景気を良くする一方で、金利は力づくで抑え込むことになりますが、それは、債権者の立場を犠牲にすることになる。
 それでも、こうした金融抑圧で財政再建が達成されるなら良いかもしれませんが、問題は、本当にそれだけで財政が健全化するのか、そもそもこの政策は果たして持続可能なのか、という点にあります。今さえよければ良いとの刹那的な政策がアベノミクスであっては困ります。
このように述べてくると、私はガチガチの財政再建派のように映るかもしれませんが、必ずしもそうではありません。今回の収録の際にチャンネル桜の水島社長から、その翌々日の経済討論に参加するようお誘いを受けましたが、そこでは、積極財政派の観点から議論しております。大事なのは、経済と財政を両立させる「第三の道」です。
 このビデオレターでも、新しい政策の枠組みに迫っていきたいと思います。